「いつからかついた不便な修飾語/最高という言葉はまだ恥ずかしい/私はただ音楽が好きなんだ/今もあの時と変わったことは別にない」。BTSが10日発売した新しいアルバム「Proof」のタイトル曲「Yet To Come」(The Most Beautiful Moment)は象徴性が大きい。
◇「Yet To Come」
この曲には「3つの特徴」が圧縮されている。
デビュー当時の心境を振り返る初心の過去、それまでのK-POPの歴史をすべて変えてしまい、最高という修飾をつけている超越の現在、それでも音楽が最も重要だとファンを自分たちの世界に招待し続ける未来……。
「Yet To Come」はチームのラッパーラインであるRM、SUGA、J-HOPEと、BTSの初期からともに活動しているプロデューサーPdoggが作詞・作曲した。メロディカルな旋律に、米シンガーソングライターMAXが力を加えた。
「BTSといえば、韓国で特に記憶される曲は『春の日』だが、この曲と肩を並べるほどメロディーが良い」(ポピュラー音楽評論家のチョン・ミンジェ)と評価されるほど、旋律的な面でも好評を得ている。
これに応えるように韓国の大手配信サービスMelonでは、これまでのヒット曲を抜いて「トップ100」1位を射止めた。YouTubeのミュージックビデオは公開5時間半後には再生数2000万を突破した。
ミュージックビデオは広い砂漠の真ん中に7人のメンバーが座っている場面で始まる。
自然と調和した異色の風景が果てしなく広がる。所属事務所のBIGHIT MUSICは「『Yet To Come』がBTSが歩んできた音楽のプロセスを振り返ると同時に、きらびやかに輝く未来を約束する歌でもある。ミュージックビデオもBTSの過去と現在、そして未来に向けた期待感を示している」と紹介した。
BIGHIT MUSICによると、「Yet To Come」ミュージックビデオのすべての場面は、BTSの過去のミュージックビデオの中の場面からインスピレーションを受けたものという。広大な砂漠はBTSの痕跡で満たされ、7人のメンバーは思い出を回想するように過去と向き合う。
コラージュと言ってもよい。「一日だけ(Just One Day)」「Boy In Luv」「RUN」「Intro:花様年華」「血汗涙(Blood Sweat & Tears)」「春の日(Spring Day)」「FAKE LOVE」「No More Dream」などのシーンが現在とつながっている。
◇BTSのアイデンティティ
JIMINは10日、Melonステーション内のBIGHIT MUSIC専用プログラム「BIGHIT MUSIC RECORD)」で「Yet To Come」について「『あなたの最高の瞬間はまだ来ていない』という希望的なメッセージが込められている。とても暖かい雰囲気のメロディー」と紹介した。
RMは「最近のトレンドが『Y2K』(2000年代流行したミレニアル)ではないですか」と説明した。
「アンソロジー(anthology、選集)」形式であり、CD3枚を一度に買えば、価格がかなり高い(6万ウォン前後)が、BTSのファンダムはあまりにも確固であるため、今回のアルバムで米ビルボードアルバムチャート「ビルボード200」で6度目の1位を獲得することが確実視されている。
アルバム販売量は1日で200万枚を軽く超えるものとみられる。アルバム販売量集計サイトのハンターチャートによると、10日午後6時40分現在、「Proof」の「コンパクトエディション」は103万8000枚、「スタンダードエディション」は92万4000枚が売れたと集計された。
「Yet To Come」もビルボードメインシングルチャート「ホット100」でホットショットデビューは可能と予想される。ただ、旋律は良いが韓国語曲であるため、「Dynamite」や「Butter」のように長期間、上位にとどまれるかどうか状況を見守る必要があるというのが業界の予想だ。
2枚目のCDの始まりを告げるオールドスクール風の曲「走れバンタン」は、デビュー当時のBTSの自由奔放で覇気のある姿がそのまま溶け込んでいる。ジャンルはアップテンポヒップホップで、時間のトンネルを過ぎ、切なく、力強く成長した彼らを見せる。同時に、今に満足せず、さらに力強く走っていくというBTSのアイデンティティを表す。
◇「For Youth」
JUNGKOOKは「走り続けてきた時間と、それぞれの個性にもとづく『ストーリーテリング』、7人のメンバーの長い長い旅程・信頼・激励、そんな感情を音楽でよく示した曲」と表現したうえ「私たちがよくやるスタイルで『マイクドロップ』のように、アーミーが好きな歌ではないか」と話した。メンバーは「JUNGKOOKのガイドが世の中に出てほしい」と付け加えもした。
BIGHIT MUSICの親会社HYBE(ハイブ)のパン・シヒョク議長ら参加したファンソング「For Youth」は、BTSがアーミーに捧げる曲だ。3枚目のCDのフィナーレであると同時に、今回のアルバムの最後を飾る。2016年に発売されたアルバム「花様年華Young Forever」の収録曲「EPILOGUE:Young Forever」をサンプリングし、実際のBTS公演でのファンの歓声で始まる。
JINは「For Youth」について「ファンのための歌でありファンに捧げた曲だ。『燦爛たる青春』をプレゼントしてくれたアーミーに向けたBTSの感謝が盛り込まれている。アーミーがいるところが私たちのふるさとの家であり、アーミーと過ごす時間が青春だ」と伝えた。
BTSの新アルバムに対する反応は期待通り爆発的だが、HYBEの株価は前日より4000ウォン下落した22万3500ウォンで取引を終えた。BTSメンバーの兵役問題について、結論がまだ出ていない点が影響を及ぼしたと見られる。
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