
人工知能(AI)技術と融合したホームビューティー機器市場が、韓国の美容産業「Kビューティー」の新たな主戦場として注目を集めている。従来の化粧品を中心とした美容市場が、AIを搭載したデバイスへと拡大する中、韓国の美容機器専門企業APRをはじめ、大手企業のアモーレパシフィックやLG生活健康などが「ビューティーテック」の主導権を巡って激しく競い合っている。
LG経営研究院によると、韓国国内のビューティーデバイス市場は2018年に約5000億ウォンだったが、2022年には1兆6000億ウォンと3倍以上に成長。2030年には年平均10%以上の成長を遂げ、3兆4000億ウォンに達すると予測されている。グローバル市場も拡大傾向にあり、米国の調査会社P&Sインテリジェンスは、世界市場規模が2022年の140億ドルから2030年には898億ドルに成長すると見込んでいる。背景にはホームケア需要の増加、AI技術の高度化、パーソナライズド・ビューティーへの関心拡大などがある。
中でもAPRの台頭が目覚ましい。同社は主力ブランド「メディキューブ」のホームビューティー機器「Age-R」シリーズのグローバル累計販売台数が400万台を突破し、急速に市場シェアを拡大。今年1月には米ラスベガスで開催された世界最大級の家電展示会「CES 2025」でAI機能搭載の新製品を多数発表し、海外進出にも拍車をかけている。
こうした新興勢力の台頭を受け、LG生活健康はLG電子のプレミアムホームビューティー機器ブランド「Pra.L」を引き継ぎ、ラインアップを再編中。特に10万ウォン台という手頃な価格の「スーパーフォーム・ガルバニック・ブースター」を前面に打ち出し、若年層の女性をターゲットにブランド統合と製品リニューアルで市場再攻略を図っている。
一方、アモーレパシフィックもAIを搭載したビューティーデバイスブランド「メイクオン」で新製品を相次いで投入。主力製品をアップグレードした「スキンライトセラピー3S」では、トーニングやリラックス、フェイスラインのケアなど4つの機能を活用でき、専用アプリを通じてAIによる肌分析・ケアソリューションが提供される。ユーザーは自分の肌データを基に、より体系的なホームケアが可能となる。
このような流れにより、中小ブランドや後発企業も次々と市場に参入。超音波や高周波、LEDなどの先端機能を搭載した「テック系ビューティー」製品の普及が進んでいる。業界関係者は「Kビューティー市場が化粧品中心からデバイス中心の技術競争へと急速に再編されている。APRの旋風、LG生活健康の巻き返し、アモーレパシフィックの技術革新は、新たな産業地図を描く出発点になるだろう」との見方を示している。
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