米ラスベガスで開かれる世界最大のテクノロジー見本市「CES 2025」で、韓国のドローン企業「Nearthlab」が開発した次世代ドローン運用システム「ドローンステーション」がベストオブイノベーションを受賞した。この賞は、全米民生技術協会(CTA)が技術性、美しさ、独創性、革新性を評価して選出するもので、3400以上の出品作の中から19製品が選ばれた。
Nearthlabのチェ・ジェヒョク代表は「ドローンステーションは技術的な優秀性だけでなく、公的安全分野でのドローンの活用可能性を大きく拡張した点が評価された」と語った。このシステムは、警察の管制システムなどと連動することで、ドローンの自律運航を可能にしている。
◇5分でバッテリー交換、冷却機能も搭載
ドローンステーションはバッテリー交換、ドローンの冷却などを自動で実施する。従来のステーションではバッテリー充電に40分以上かかることが多かったが、同社のステーションはロボットアームを活用してバッテリー交換を5分以内に完了させる。このため、緊急対応時にも迅速な出動が可能だ。また、冷却システムや防じん・防水機能も搭載されており、過酷な環境下でも安定した運用を支援する。
チェ氏によれば、警察や消防などの運用機関システムと緊密に連携することで、迅速な飛行許可申請も可能になる。Nearthlabはこれまで風力発電所の安全点検をしながらドローンと運用機関のシステムとの連携技術を磨いてきたという。
◇公共安全の「ゴールデンタイム」を確保
同社の主要製品「AiDEN」と「KAiDEN」は、災害や緊急事態など公共安全分野での活用が見込まれる。特にAiDENは、事件発生時に素早く現場へ飛び、情報を収集するよう設計されている。
犯罪現場では、警察官や救助隊が到着する前にステーションに配備されたAiDENが現場を記録し、状況を把握する。通常時は犯罪多発地域を巡回し、事件発生時には即座に出動する運用も可能だ。これにより、迅速な意思決定が可能になり、複数のドローンを同時に運用して効率的な捜索もできる。
チェ氏は「災害時には(発生から72時間以内の時間帯である)ゴールデンタイムに対応することが最も重要だ。ステーションとドローンが迅速な現場把握を支援し、適切な救助作戦を策定するのに役立つ」と述べた。
◇ドローンステーションが新たな中核技術に
従来のドローンステーションは単なる充電場所としての役割が中心だった。しかし、Nearthlabはステーションをドローンの任務遂行の中核機器として進化させた。AIを活用し、人命救助の支援やコスト効率の向上を目指している。
このシステムは、車両に設置して移動式指揮本部として活用したり、複数のステーションを積み重ねて運用したりすることで、集団飛行にも対応できる。Nearthlabのソリューションは、すでに韓国内外の警察や消防当局から注目を集めている。
チェ氏は「昨年は、フィンランドでの実演やアメリカの警察・消防当局との試験を通じて、現場での導入可能性を探った。今年はさらに多くの国で具体的な成果を示したい」と、自信を見せている。
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