韓国の学校教育にAI(人工知能)技術を活用した「AIデジタル教科書」が2025年3月から本格導入される。当初は小学3~4年生、中学1年生、高校1年生の数学、英語、情報の授業で使用される。
AIデジタル教科書は、生徒ごとに学習能力を分析し、適切なフィードバックを提供する。学習の進捗状況やつまずきやすいポイントを把握し、個別の弱点を補完する機能が搭載されている。
教育省は、この新技術によって「数学や英語を諦める生徒をなくす」ことを目指している。例えば、遠隔地に住む生徒でも、AI教科書を使えばネイティブスピーカーとの対話や数学の問題解説が受けられる。これにより、教育の地域格差や経済的格差を縮小できると期待されている。
教育省が認定した76種類のAIデジタル教科書の中でも、天才教育やYBMなどの教育企業が注目されている。天才教育は43年のノウハウと膨大なビッグデータを基に、AI特許技術を活用した「AIスマートコーチング」や「学習誘導用チャットボット」を提供する。
一方、YBMは自動採点機能やAIヒューマンとのリアルタイム会話が特徴で、問題の正解・不正解だけでなく、解答プロセスの分析も実施する。AIが生徒と教員をつなぐ役割を果たし、授業を再構成する機能や大規模なデータ分析を活用して学習効果を高めている。
教育省の調査によれば、AI教科書が学校での授業への関心を高めるという保護者の期待値は、導入前の平均3.52点から導入後は4.27点に上昇した。
AI教科書の開発には巨額の投資が必要だが、企業は特許技術とコンテンツ開発に力を入れ、教室での積極的な活用を目指している。一部企業は「AIという時代の流れに逆らえない」と述べ、教育分野のAI活用が持続的に拡大することを示唆している。
AIデジタル教科書は、教育の効率性を高めるだけでなく、教育現場に新しい可能性を広げ、未来の教室を変える原動力となりそうだ。
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