2025 年 11月 14日 (金)
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AIカンニングを防ぐより、評価を変えるべきだ…韓国・大学の試験に限界、高まる「再編」求める声

延世大学のキャンパス風景=延世大学提供(c)NEWSIS

AIを使わない方が損をする時代だ――。韓国の大学現場で、生成AIの使用が“カンニング”として扱われながらも実態としては広く蔓延しており、従来の試験制度そのものに対する見直しを求める声が高まっている。

きっかけとなったのは、延世大学で開講された教養科目「自然言語処理とChatGPT」での集団不正行為の発覚だ。ビデオ会議形式で実施された中間試験で、学生らがAIを用いた解答を提出していたことが明らかになり、波紋が広がった。

学生コミュニティ「エブリタイム」の延世大掲示板には「バレなければ問題ない」と開き直るような書き込みが相次いでいる。担当教授が「自主申告すれば中間試験の成績を0点にとどめる」と呼びかけたが、「なぜ“自首”するのか」「教授が見抜けないなら言う必要ない」といった反応が大勢で、不正に及んだ10人以上の学生は未だ“自首”していないという。

こうした中、一部の学生からは「試験構造そのものに問題がある」とする指摘も出ている。「AIを使う学生と使わない学生の間に不公平が生じており、むしろ使わない方が損をする状況」との声や、「講義運営の側にも責任がある」という批判も上がっている。

コロナ禍を経て、非対面授業やオンライン試験が常態化するなか、AIの利用は加速度的に進んだが、大学の評価制度は依然としてオフライン時代の基準にとどまっている。

これについて、教授からも「学生を非難するより、時代に合った評価方式への転換が必要だ」との声が相次いでいる。

ある私立大学の教授は「情報アクセスがこれだけ容易な時代に、閉じた環境での試験だけを続けるのは現実的ではない。実習やプレゼンテーションなど、成果ベースの評価に切り替えるべきだ」と述べた。

また別の大学教授は「今やAIを活用する力そのものが重要なスキルであり、一部の授業では使用を認めている。試験時間内にAIを使いこなし、独自の理解と創造性を反映して答えるといった“融合型評価”を模索する必要がある」と語った。

この騒動を受け、延世大学は学内のAI倫理に関する公聴会をAIイノベーション研究所の主導で開催する方針を明らかにした。教職員・学生問わず誰でも参加可能な形式とする。

不正行為が確認された学生に対する処分も別途進められる。大学側は「学生の評価は基本的に担当教授の権限に属するが、重大な場合は学科や学生支援課で懲戒委員会が開かれる可能性がある」としている。

一方、ソウル大学も11月21日、学部生を対象に「ChatGPTで宿題してもいいですか?」と題したワークショップを開催する。案内文には「AI活用による学習における学問的誠実性の問題」が主な争点と記されており、大学全体での制度見直しの必要性が意識されていることがうかがえる。

さらに同大学では、2025年2学期から「持続可能なAIリーダーシップ」科目群を開設し、倫理・技術・社会の交差点に立つAIリテラシーの教育を展開中だ。該当科目には「現代社会と倫理」「科学技術と社会正義」「データと技術文化」「AIとデータ倫理」など6つの講義が含まれている。

(c)NEWSIS

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