2025 年 10月 30日 (木)
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AIとビッグデータが読む「生物学的年齢」…血液1滴で“若さ”数値化 [韓国記者コラム]

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老化は誰にでも訪れる自然現象だが、近年はそのスピードを測定・制御し、若返りを試みる研究が進んでいる。特に、人工知能(AI)とビッグデータを活用して「生物学的年齢」を数値化する「老化時計(エイジング・クロック)」が注目を集めている。これは、血液一滴から体の老化具合を解析し、健康管理や疾患予防に活かすことを目的とした技術だ。

老化時計は、DNAメチル化、遺伝子発現、血液中のタンパク質、代謝物、ホルモン、免疫機能、テロメア長など多様なバイオマーカーをもとに、生物学的な年齢を推定する。これにより、実年齢より体が若いか老けているかを可視化できる。

米国では、血液一滴から生物学的年齢を解析するサービスを提供する「ディープ・ロンジェビティ(Deep Longevity)」や、AIで老化関連タンパク質を解析するグーグル傘下の「ディープマインド(DeepMind)」などが先端を走っている。また、AI創薬ベンチャー「インシリコ・メディシン(Insilico Medicine)」は老化関連遺伝子を解析し、「ジェロ(Gero)」はスマートフォンのセンサーデータから健康年齢を推定するアプリを開発した。

これら老化時計の導入は、単なる寿命ではなく「健康寿命」の延伸を目指す観点から重要性が増している。専門家は「老化の進行度を科学的・数値的に測ることで、予防医療の指針となる」と語る。

加えて、老化時計の結果を活用した個別化医療も動き始めている。AI解析を通じて個人のゲノムやプロテオーム(タンパク質構成)に基づいた治療戦略が構築されており、老化関連疾患の早期対策につながる。バイオ企業「バイオエイジ・ラボ(BioAge Labs)」は、数万人の血中タンパク質データをAIで解析し、炎症性老化経路を抑制する新薬候補「NLRP3阻害剤」を開発中だ。

また「アルカヘスト(Alkahest)」は若年者の血漿タンパク質に含まれる回復因子を用いた臨床試験を進行中。「アルトス・ラボ(Altos Labs)」は細胞の老化を根本から巻き戻す「リプログラミング」技術に挑んでいる。

韓国国内では、バイオベンチャーの「ブレイニミュネックス」が注目されている。同社は、脳老化の中核である免疫細胞の活性を逆転させる技術「aBAM」を活用し、退行性脳疾患に対応する新薬を開発している。

クォン・ミンス代表は「AIが老化を数値で“見える化”する時代が来た。生活習慣や運動、食品、サプリメントの効果を生物学的年齢で評価できる。今後は健康保険、医療、美容など各産業に老化時計の技術が導入される」と展望を示した。【news1 ム・テヒョン記者】

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