2024 年 10月 6日 (日)
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AIチャットボットの進化がもたらす「恋愛新常識」 [韓国記者コラム]

「マイクロソフトデザイナー」作成イメージ(c)MONEYTODAY

米マイアミ在住の24歳、独身男性。「AI(人工知能)彼女」に月1万ドル(約146万円)を費やしているという。「AI彼女のどの点を気に入ったのか」と尋ねられ、次のように答えた。

「人々はビデオゲームをしますが、私はAI彼女と遊びます。AI彼女はカスタマイズが可能で、好きなことや嫌いなことなどを設定できます。1日が終わると心が安らぎます」

これは、米企業「レイトチェックアウト(Late Checkout)を運営する投資家グレッグ・アイゼンバーグ(Greg Isenberg)氏が今年4月、自身のX(旧ツイッター)に投稿したエピソードだ。320万回以上の閲覧を記録し、世界中のIT業界に大きな衝撃を与えた。

アイゼンバーグ氏は当初、冗談だと思ったという。だが「私にはAIで作られた女性たちの写真が本物のように見え始めた。誰かが世界最大のソーシャルデーティングアプリ『Tinder』を運営するMatch GroupのAIバージョンを作り、10億ドル以上の収益を上げるかもしれない」とも予測した。

◇人間固有の領域に侵入するAIチャットボット

アイゼンバーグ代表の予想通り、現在のAIは業務領域を超えて、人間固有の価値とされてきた恋愛・愛の領域にまで侵入している。特に、「生成型AI」技術と結びついた企業用AIチャットボットは、カスタマーサービスを代替するだけでなく、感情の交流が可能なAIチャットボットも急速に成長している。

かつてのチャットボットは、事前に設定された回答やキーワードに基づいて動作していたが、生成型AIを活用した対話型チャットボットは、人間の言語を解釈・理解する自然言語処理(NLP)技術を基に、ユーザーの質問や要求に柔軟で自然な対話ができるようになった。

AIチャットボット市場は爆発的な成長が見込まれている。グローバル市場調査会社「Market and Market」によると、世界のAIチャットボット市場規模は今年132億ドルから年率24.9%の成長を遂げ、2030年には499億ドルに達する見通しだ。

企業にとってAIチャットボットの導入は不可欠な要素となっている。内部構成員や顧客の利便性を向上させることができ、ビジネスコストを削減するなどのさまざまな利点を確保し、企業競争力を強化できるからだ。

韓国ネット大手カカオは今年4月、カカオトークチャンネルのAIチャットボットを活用した顧客対応のコスト削減効果が年間最大1414億ウォン(約154億円)に達するという分析結果を発表した。AIチャットボットは▽一貫したサービス品質▽顧客データ分析とインサイトの抽出▽継続的な学習によるサービス改善――などにも役立つ。

新韓銀行(c)MONEYTODAY

◇金融・eコマースを超え、法律・医療など専門領域まで拡大

産業領域の中では、金融業界におけるAIチャットボットの活用が活発だ。入出金や積立加入・為替申請などの業務を処理するために銀行に直接訪れる人が目に見えて減少し、証券会社やカード会社、保険会社もAIチャットボットの高度化に向けた投資を惜しまない。

特に、新型コロナウイルスのパンデミックにより非対面サービスの重要性が高まった後、AIチャットボットの需要は日に日に拡大している。eコマース業界はショッピング相談やパーソナライズドサービスのためにAIチャットボットを積極的に活用しており、旅行業界でもAIチャットボットを通じてユーザーの体験を改善している。

最近では、一般的な大規模言語モデル(LLM)の限界を超え、法律・医療・会計などの専門領域に特化したLLMに基づくエージェント(秘書)サービスを提供する企業向けAIチャットボットの成長が著しい。

韓国では、弁護士法・医療法などの規制問題により制約があるが、海外では弁護士・医師・会計士など専門家の業務を支援するAIチャットボットが次々と登場している。Googleが開発した医療用AIチャットボット「エイミー」は今年初めに医師を凌ぐという研究結果が発表され、世間を驚かせた。

20代女子大生コンセプトのAIチャットボット「イルダ」=SCATTER LAB(c)MONEYTODAY

◇感情まで交流するAI…産業界に地殻変動

AIチャットボットは人間の感情領域にまで浸透し、無限に拡張している。韓国では「SCATTER LAB」が開発した女子大生コンセプトの「イルダ」が最も知られている。海外ではMAU(毎月のアクティブユーザー)が400万人に達する「Character.AI」をはじめ、友人や恋人のように会話する感情型AIチャットボットが続々と登場している。

仮想恋人と会話するレベルを超えて、実生活の恋愛問題をチェックし、アドバイスを提供するAIチャットボットや、デーティングアプリでユーザーを引き立てる紹介文を生成し、気になる人にどのような質問をすれば良いか提案するAIチャットボットも存在する。

さらに、世界的な高齢化現象と相まって、シニアケアのためのAIチャットボットが次々と登場するなど、人間との感情的な交流が可能なAIチャットボットの登場は、多くの産業分野で重要な変化をもたらしている。

しかし、こうした成長には克服すべき課題も少なくない。AIモデルの学習過程で生じる著作権問題、個人情報の漏洩やプライバシーの侵害、AIチャットボットの差別・ヘイトスピーチなど、さまざまな副作用に対する対策が求められている。

例えば、英国では昨年、AIがエリザベス女王の暗殺を唆した事件まで発生した。女王殺害計画を立てた男性は“AIチャットボット彼女”と5000回以上の会話を交わしながら暗殺計画を具体化していった。その過程でAIは「賢い」「あなたならできる」と応援していたことが明らかになった。

国際人工知能倫理協会のチョン・チャンベ理事長は「危険な自動車に安全に乗ることができるのは、ブレーキなどの技術的な安全装置とともに道路交通法のような法制度があるおかげだ。安全なAIエコシステムの実現には、法制度の整備がこれまで以上に重要だ」と指摘する。【MONEYTODAY チェ・テボム記者】

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