2024 年 10月 27日 (日)
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NFT、証券トークンとの区分が必要

 コラム 

革新と規制研究所 クァク・ノソン所長

クァク・ノソン所長©MONEYTODAY

NFT投資ブームが起きている。新型コロナウイルス感染以後、再び広がり始めた暗号通貨への投資ブームは、以前の高値を大きく上回り、機関投資家に広がっている。感染対策から始まった非対面社会は、現実と仮想をつなぐメタバース世界への関心を高めた。NFTは暗号通貨とメタバースの接点にある。メタバースの世界を切り開くためには、複製が容易なデジタルコンテンツが本物であることを立証することが重要だ。「落成款識」(書画が完成した際、それが自作であることを示すため姓名や年月などを記すこと)のようにNFTを利用すれば仮想通貨生態系で本物であることを証明することができる。

NFTに対する投資熱気が高まっただけにリスクも高まっている。いつのまにかNFTは本来の意味が色あせ、マーケティング用語になってしまった。最初からデジタル形式で作られたコンテンツはもちろん、知的財産権、不動産など仮想通貨を除いたほぼすべての資産に「NFT」という名前を付けている。社名に「ドットコム」をつけただけで株価が数倍に上昇した1990年末の「ドットコムバブル」を連想させる。

最大の問題は、不動産のような実物資産に基づいた証券型トークンを「NFTの一種」とみなすことだ。このような現象は単に価格上昇を狙う投資市場だけではない。政策議論の場である国会研究報告書でも確認できる。さまざまなコインの価値が同じ暗号通貨とは異なり、(国会議事堂のある)汝矣島(ヨイド)の建物で発行したトークンと(そこに近い)麻浦(マポ)の建物で発行したトークンは、それぞれ異なる固有の価値を持っており、代替できない。だからNFTがピッタリだという。果たしてそうだろうか。

一つのトークンだけ見れば代替不可能だ。しかし、建物一つで必ずしもトークンが一つだけ発行されるとは限らない。一つの建物で10個のトークンが発行されたとしたら、そのうちどれが本物なのかブロックチェーンでは確認できない。最初に発行されたものが、必ず本物であるとは言えない。建物のオーナーが最初に発行したという保障がないからだ。家族がビルのオーナーに内緒で発行したトークンが最初かもしれない。時には、トークン発行人がビルのオーナーに内緒で複数のトークンを発行し、それぞれ別の取引所に上場させることもある。

最初からデジタル形式で作られたコンテンツは異なる。もちろんデジタルアートをコピーすれば、目では本物と見分けがつかない。だからといって本物が消えてなくなるわけではない。ブロックチェーンを確認してみると、たくさんのデジタルコンテンツの中でどれが本物なのか区別できる。トークンそのものはすべて本物だが、いざ権利関係が不確実な不動産収益証券トークンとは違う。

実際、韓国政府はこの問題の深刻さをよく知っている。金融委員会は昨年4月、フィンテック・ブロックチェーンのスタートアップ「ルーセントブロック(Lucentblock)」の不動産収益証券取引プラットホームを「金融規制サンドボックス」に指定した。

にもかかわらず、不動産収益証券を、規制を受けないNFTに分類する昨今の議論に、金融委は口をつぐんでいる。おそらく、暗号通貨の禁止を試みて大きな困難に直面した過去の経験がトラウマとして残っているようだ。さらに、今の政界は、20~30代の票を獲得するためにNFT公約を掲げている。公務員の立場では最大限慎重に対処しなければならない。

だからといって投資家保護という政府の役割を疎かにするのは困る。困難な時であればあるほど、原則を守らなければならない。新産業が成長するのに、生半可な規制は禁物だ。創意的な発想を遮り、スタートアップの意志をくじいてしまう。だからといって放置してはならない。混乱した市場も新産業の成長を困難にする。

デジタルコンテンツやゲームが強い韓国にとって、NFTは非常に重要な市場だ。実物資産をデジタルで流動化する証券型トークンは、デジタル転換の核心だ。電子政府モデルの輸出のように、証券型トークンも海外市場に進出できる大きな産業である。両産業がうまく成長できるよう、政府が違うものは違うと言わねばならない。そうしてこそ、後に大きな混乱を防ぐことができる。それが真の市場との疎通というものだ。

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