人工知能(AI)を基盤とする口腔管理ソリューション「イアポ」を開発したキューティティーは、ソフトバンクと提携し、日本に進出に挑んだ。イアポは「自撮り」をするように歯と口腔の写真を撮ると、AIが分析して状態を知らせ、診療が必要な場合は病院などにつなげるサービスだ。キューティティーは、イアポでまず日本の歯科市場を攻略した後、米国、欧州などにも進出する計画だ。
位置情報プラットフォーム「ワタ」は、スペインの多国籍セキュリティ企業「プロセガー(Prosegur)」から3万ユーロを受け取り、マドリードなどで技術実証(PoC)を実施している。ワタは、AI空間認識ソリューションを通じ、プロセガーが管理するサービス地域内の保安要員の管理及び管制モニタリングソリューションを提供する予定だ。
キューティティーとワタの海外進出には共通点がある。大韓貿易投資振興公社(KOTRA)が、2021年から本格的に推進している「グローバルオープンイノベーション事業」でチャンスをつかんだことだ。中堅・中小企業の輸出前哨基地としての役割を果たしているKOTRAが、有望スタートアップ企業が海外進出する際の橋渡し役も担っている。KOTRAは全世界の海外貿易館のネットワークを基盤に、グローバル企業との協業などを取り持つのはもとより、スタートアップが安定的に海外に定着するように支援している。
KOTRAや関連業界によると2021年9月29日現在、KOTRAスタートアップ支援チームは95のグローバル企業から167件のオープンイノベーションの需要を発掘し、韓国スタートアップ計539社につないだ。このうちオンライン相談にまで至った企業が91社、実際に協業、技術実証(PoC)などの成果が出た企業が6社である。最近は、英国BPベンチャーズやドイツのメルク、シンガポールTSLなど、グローバルオープンイノベーションプログラムへの参加スタートアップを募集している。
KOTRAスタートアップ支援チーム長のキム・ミョンシン氏は2021年について「年間最少で180件のグローバルオープンイノベーションを発掘し、550社の国内スタートアップを推薦することで、約100社が実際に緊密に協議を続けていくことを期待している」と語っていた。
グローバルオープンイノベーションの需要は、KOTRA海外貿易館が直接発掘する。KOTRA海外貿易館は全世界に計127か所あり、オープンイノベーションの需要が多い地域21か所をスタートアップ拠点貿易館に指定した。スタートアップ拠点貿易館は▽シリコンバレー▽ニューヨーク▽ロンドン▽北京▽ロサンゼルス▽上海▽東京▽パリ▽トロント▽シンガポール――などだ。
また、グローバル都市創業生態系20位圏内の9都市のほか▽ダラス▽マドリード▽ハンブルク▽ヘルシンキ▽ウィーン▽ハノイ▽ホーチミン▽ジャカルタ▽ニューデリー▽バンガロール▽ドバイ―― などである。
キム・ミョンシン氏は「オープンイノベーションの対象に選ばれてもグローバル企業の現地担当者が変わったりコミュニケーションがうまくできなかったりする場合があり、貿易館が絶えず調整の役割を果たす。特に海外でPoCをする場合、現地の生活情報の提供からアイテム・事業の適法性の確認など法律的な部分まで支援する」と述べた。
KOTRAスタートアップ支援チームは今後、グローバル企業の研究所や海外の病院などへとオープンイノベーションの需要発掘を拡大する方針だ。さらに、国内スタートアップの推薦のため116の機関と協力しているが、来年は協力機関もベンチャーキャピタル、協会、学校などに増やす予定だ。
「技術だけを持つスタートアップが海外に進出する方法で最も効果的な第一歩は、グローバルオープンイノベーションだ。海外で技術実証はもちろん、リファレンス確保とミス検証、商業化判断にも良い機会になる」。キム・ミョンシン氏はこう強調した。さらに「グローバルオープンイノベーション事業は海外拠点がなければできない。海外拠点を127カ所持つKOTRAだけが最も効果的に支援できる事業だ」と胸を張った。
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