
米国による輸入車への高関税措置が現実の影響として現れ、韓国自動車産業が大きな岐路に立たされている。米国市場への輸出に依存してきた韓国の完成車メーカーおよび中小部品企業は、今やサプライチェーンの再編を迫られている。
韓国自動車モビリティ産業協会(KAMA)によると、今年4月の自動車輸出台数(暫定値)は前年同月比8.8%減の24万6924台にとどまった。1~4月の累計輸出も前年比約4%減少した。
トランプ米大統領が導入した25%の高関税政策により、米国向けの輸出が顕著に減少。韓国自動車産業にとって最大の輸出先である米国市場で、現代自動車とGM韓国事業所の4月の輸出台数は、それぞれ13.9%減の9万9712台、4.3%減の4万315台だった。
この影響で輸出金額全体も落ち込んでいる。産業通商資源省によると、4月の自動車輸出総額は約65億2700万ドルで、前年同期比3.8%減となった。特に米国向け輸出は19.6%減の約28億9000万ドル、北米全体でも17.8%の減少を記録した。5月も輸出低下の傾向は続いており、1~20日の輸出実績は前年比6.3%減の30億8000万ドルにとどまった。
影響は完成車メーカーにとどまらず、中小部品企業にも及ぶ。韓国製部品の採用を減らし、米国現地調達率を高めようとする動きが加速しているためだ。5月1~20日の部品輸出額は、前年同期比10.7%減の約9億100万ドルにまで落ち込んだ。
完成車メーカーは関税回避のため、主力モデルを中心に米国現地生産を強化。現代自動車は今年第1四半期、アラバマ州工場の稼働率を102.8%まで引き上げた。一時的には在庫確保のため輸出量が増えたが、関税が継続すれば国内で生産された車両の行き場が失われかねない。
国内工場の稼働率低下に伴う雇用不安も懸念される。政府は政策支援を拡充する方針だが、短期的な支援だけでは抜本的な構造危機は克服できないとの指摘が強い。
業界関係者は「米国だけでなく、中東・東南アジア・中南米など新興市場でも電動化に対応した現地サプライチェーンの構築が進んでいる。内需には限界があり、輸出市場の多角化が急務だ」と強調した。
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