2025 年 5月 22日 (木)
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国家債務急増と高齢化のダブルパンチ、韓国の信用格付けは大丈夫か

2025年5月16日、仁川新港でのコンテナ積み下ろし作業(c)news1

米国の信用格下げが波紋を広げる中、韓国でも急速に進行する財政赤字と国家債務の増加に対し、懸念の声が高まっている。国際格付け機関ムーディーズが16日(現地時間)、米国の国家信用等級を最上位の「Aaa」から1段階引き下げた。原因として、財政赤字の恒常化、国債の膨張、減税による歳入減、利上げによる利払い負担の増加が指摘された。

韓国では現在、主要格付け機関3社(ムーディーズ、S&P、フィッチ)がいずれも「安定的」見通しを維持しているが、専門家は「構造的な要因を踏まえると、将来的に信用格下げが現実になる可能性もある」と警鐘を鳴らしている。

米国ではコロナ禍以降、財政赤字が年間1兆ドル以上で推移しており、2024会計年度には1兆8300億ドルに達し、GDP比では6.4%。国家債務も36兆2200億ドルに達し、GDP比123%と深刻な水準となっている。

これに対して韓国でも、2024年の管理財政収支が104兆8000億ウォンの赤字、GDP比4.1%と、「財政ルール」の上限である3%を5年連続で超過。今年も84兆7000億ウォンの赤字(GDP比3.2%)が予想されている。国家債務は1280兆8000億ウォンで、IMFによると2025年にはGDP比で54.5%に達し、非基軸通貨国の平均を上回る見通しだ。

特に懸念されるのは、韓国が「世界最速の高齢化と少子化」を同時に抱えるという点だ。社会保障費の増加と税収減の構造が財政に与える圧力は年々大きくなる。

このような中、6月3日の大統領選を控えた主要候補者は揃って減税や現金支給型の公約を打ち出しており、財政健全性への懸念が一層強まっている。共に民主党のイ・ジェミョン(李在明)候補は、児童手当の拡充、農漁村の基本所得、勤労所得税の控除拡大、地域通貨の支給などを公約。一方、国民の力のキム・ムンス(金文洙)候補も、所得税の控除拡大などを掲げている。

18日の大統領候補者討論会では、両候補とも「小商工人や自営業者支援のためなら国家債務の増加もある程度は受け入れるべきだ」との立場を示した。

これについて専門家は警鐘を鳴らす。延世大学のキム・ジョンシク名誉教授は「現在の国家債務や財政赤字はまだ危険水準ではないが、低成長と高齢化が進行すれば問題は拡大する」と述べ、「成長率を引き上げて税収を増やすしか根本的な解決策はない」と指摘。

また、梨花女子大学のソク・ビョンフン教授は「2015~2029年の間、韓国のGDP比一般政府債務(D2)の年平均増加率はG20で最も高い2.93%。将来的には格付けが下がる可能性もあり、持続可能な財政運営のための設計が不可欠」と述べた。

(c)news1

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