2025 年 5月 24日 (土)
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金正恩総書記、6月にロシア訪問か…朝露新条約1周年に合わせて

北朝鮮のキム・ジョンウン(金正恩)朝鮮労働党総書記とロシアのプーチン大統領(c)AP/NEWSIS

北朝鮮のキム・ジョンウン(金正恩)朝鮮労働党総書記が6月にロシアを訪問する可能性が高まっている。韓国政府筋は19日、朝露新条約(昨年6月19日締結)の1周年を契機にプーチン大統領との首脳会談が開催される可能性があると明らかにした。

キム総書記は今月9日、ロシアが開催した「第2次世界大戦・対独戦勝80周年記念式典」には姿を見せなかったが、その代わりに平壌のロシア大使館を訪問し、派兵を正当化する発言をした。これは単なる欠席ではなく、すでに6月の首脳会談を調整していたことの証左とも解釈されている。

キム総書記の訪露が注目されるのは、2024年6月19日に両国が締結した「包括的戦略的パートナーシップに関する条約」が大きな鍵を握るためだ。

この条約の第4条には、一方が武力攻撃を受け戦争状態に入った場合、他方が国連憲章第51条に基づき「あらゆる手段」で軍事およびその他の支援を提供することが明記されている。これは、北朝鮮が自国軍をロシアのウクライナ戦線に派遣した法的根拠でもある。

実際、北朝鮮は先月、「条約第4条の発動に基づき参戦を決定した」と公式に認めた。

キム総書記の6月訪露は、単なる儀礼的な行事にとどまらず、軍事協力の象徴的演出になる可能性がある。

とりわけ北朝鮮は、以下のようなロシア由来とみられる先端兵器の導入を進めている。

▽4月に進水した新型駆逐艦「チェヒョン(崔賢)」号:ロシアの「ジルコン」極超音速巡航ミサイル、カラクリート級のフェーズドアレイレーダーに類似

▽5月:MiG-29から発射された新型中距離空対空ミサイルの実射訓練を公開

これらは、2021年に「国防発展展覧会・自衛21」で公開された空対空ミサイルの実戦配備バージョンとみられる。

空対空ミサイルは高度な誘導技術が必要とされ、韓国でも開発初期段階にとどまる難易度の高い兵器だ。今回の開発進展にはロシアの技術的支援があったとみるのが自然だ。

キム総書記が戦勝節の式典に不参加だった点をもって「関係冷却」と捉える向きもあるが、専門家はむしろ6月に向けた「準備」と見るべきだと指摘する。

また、この間にも北朝鮮の軍事力近代化が継続して観測されており、「共に戦う同盟関係」の誇示と軍事的実利を両立させる構図が浮かび上がっている。

北朝鮮にとってロシアとの同盟関係は、経済制裁の緩和や兵器技術の獲得など多方面での実利をもたらす。一方、ロシアもインド太平洋での米国主導の戦略を牽制するため、中国・北朝鮮との“新冷戦三角連携”を強化する意図があると見られている。

こうした軍事・外交的な“利害の一致”により、朝露の戦略的接近は今後も続くとの見方が有力だ。6月のキム総書記の訪露が実現すれば、それ自体が「ロシアと共に戦う国家」という政治的メッセージとなるだろう。

(c)news1

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