
北朝鮮が推進中の「国防力発展5カ年計画」について、韓国軍が「多くの課題で一定の進展が確認された」と評価した。2025年はキム・ジョンウン(金正恩)朝鮮労働党総書記が2021年に提示した同計画の最終年にあたる。
韓国与党「国民の力」所属のカン・デシク議員室が国防情報本部から提出を受けた資料によると、北朝鮮が今年3月に初めて建造を公開した「核動力(原子力)戦略誘導弾潜水艦」について、韓国軍は「建造初期段階」との見方を示した。従来の潜水艦に比べて大型化しており、原子力推進方式かどうかについては米韓共同で追跡中だという。
この潜水艦は、潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)を搭載し長期間の潜航が可能な戦略兵器で、北朝鮮が米本土への直接的攻撃能力を確保するために開発中のものとみられる。
また、昨年1月に北朝鮮が公開した核無人水中攻撃艇「ヘイル5-23」に関しては「初期開発段階とみられるが、一般的な長距離潜航技術は一定程度蓄積している可能性がある」と評価。一方で、「ロシアとの技術協力により、核推進や核搭載技術が進展する可能性もあり、引き続き注視している」とも述べた。
極超音速ミサイルについては「ミサイル本体のサイズが大きくなり、飛行距離も伸びている」としつつ、「滑空飛行など、極超音速ミサイル特有の特徴は目立たず、画期的な技術進展とまではいえない」と分析。今後も追加の試験発射が続くと見込まれる。
北朝鮮は、固体燃料を使用した新型極超音速ミサイルの試験発射で1000km飛行したと主張したが、韓国の合同参謀本部は実際の飛行距離は約600kmと推定している。
大陸間弾道ミサイル(ICBM)については、火星-17型や火星-19型が「米本土に届く程度の飛行能力は確保された」との評価を示した。しかし「いずれも高角発射のみで、実際の通常角度での再突入技術は未検証」としている。
また、小型戦術核弾頭「火山-31」の登場により、北朝鮮が核兵器の小型化技術を相当程度確保した可能性があると分析している。国防情報本部は「核保有国が核弾頭の小型化を完了するまで平均7年かかる。北朝鮮は6回目の核実験から8年が経過しており、追加の核実験が必要」と指摘した。
一方、軍事偵察衛星や無人偵察機などはまだ開発初期段階にあると評価。2023年7月の閲兵式で公開された無人機「セッピョル-4型」については、爆発装置の外形変更などが確認されており、個別に動向を追跡中だという。
軍事偵察衛星「万里鏡1号」に関しては「低解像度の光学画像しか取得できず、実用性は極めて低い」と評価。発射に失敗して以降、補完作業は継続しているが、「差し迫った再発射の動きは確認されていない」と付け加えた。
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