2025 年 5月 25日 (日)
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YouTube時代に「万博」は生き残れるか…情報から共感への転換を模索する韓国館 [韓国記者コラム]

大阪・関西万博の韓国館入場を待つ観覧客(c)news1

「この時代に万博は本当に意味を持てるのだろうか」

2025年の大阪・関西万博を取材するために向かう飛行機の中で、記者はそんな思いを拭えなかった。報道とは新しい情報を伝える仕事だ。しかし万博は、もはやその役割を果たせていない“過去の遺物”のようにすら見えた。

1851年のロンドン万博に始まり、電話・X線装置・テレビ・コンピューターといった革新技術を初めて世界に紹介してきたのが、かつての万博だった。世界が未来を初めて“目撃”する場――それが万博だった。しかし2025年の今、未来はもはや万博からは見えてこない。

今やYouTubeには、1分間に500時間超の動画がアップロードされる。映像で世界中の情報や感覚に即座にアクセスできる時代だ。企業は5年に1度の万博よりも、毎年開催されるCES(家電見本市)を選び、アップル、NVIDIA、サムスンなどは年に何度も独自イベントで未来を提示する。

かつて“情報の祭典”だった万博は、今や「遅すぎるメディア」へと変わってしまった。1分で情報があふれる時代に、半年間かけて開かれる展示会は、もはや輝きを失いつつある。

さらに最近では、ソウル・聖水洞(ソンスドン)などで一時的にオープンして消えていく「ポップアップストア」がトレンドになっており、万博も「国家規模のポップアップ」に感じられるとの声も出ている。

そうした懐疑心を抱えながら訪れた韓国館――。

だが実際には、単なる展示空間を超えた「体験型アート空間」のような印象を受けた。

今回の韓国館のテーマは「生命をつなぐ」。観覧客が残した声をAIが10分ごとにひとつの楽曲へと再構成し、照明とともに空間全体を演出する。異なる言語、異なる感情が一つの旋律に融合する瞬間、言語の壁を越えて人を結ぶ“韓国文化の力”が浮かび上がってくる。

もちろん、これだけで万博が「過去の遺物」ではないと証明するには至らない。しかし、韓国館は万博が「情報伝達」から「共感と体験」の場へと変化できる可能性を提示していた。

国ごとに異なる視点や文化が一つのテーマのもとに再解釈され、答えを出す場。それが未来の万博のあるべき姿かもしれない。

コンテンツと情報が洪水のようにあふれる時代。万博が生き残るには、卓越した洞察と革新的な企画力が求められる。かつて誘致に失敗した韓国が、今後再び万博に挑むならば、「世界とどうつながり、どんなメッセージを残すのか」という根本的な問いからスタートする必要がある。【news1 キム・スンジュン記者】

(c)news1

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