2025 年 5月 24日 (土)
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35兆ウォン規模の韓国観光産業、大統領候補が無関心…産業ではなく「余暇」としか見ない?

2025年2月2日、仁川国際空港第1旅客ターミナルの入国ロビー(c)news1

韓国大統領選で主要候補者の政策公約が出揃いつつある中、観光産業は再び「周縁」に追いやられている。与野党を代表するイ・ジェミョン(李在明)、キム・ムンス(金文洙)、イ・ジュンソク(李俊錫)各候補はいずれも観光を10大公約に含めず、ほとんどが地域均衡や内需振興の補足項目として言及するにとどまった。

観光業界は昨年、外国人観光客が1700万人に達し、産業規模も約35兆ウォンに回復。しかし同時に、韓国人の海外旅行急増による旅行収支の赤字は、2025年1~3月期だけで100億ドルを超えるなど、新たな課題も浮上している。

韓流ブームで「K-観光」への国際的関心が高まる中、関連規制は依然厳しく、国の支援も限定的だ。コロナ後の世界的な観光回復競争に出遅れることを懸念する声が専門家や業界から上がっている。

◇李在明:地域観光には言及も、産業戦略の明確化は不十分

共に民主党のイ・ジェミョン候補は、主要3候補の中で唯一、地域公約と全国レベルの政策において観光に言及している。江原道地域の公約では、非武装地帯(DMZ)や沿海圏などを活用した「K-観光ベルト」構想や、平和観光・スポーツ複合施設など地域特化型コンテンツの開発計画を示した。

また、全国規模の政策として「労働者休暇支援制」「地域愛休暇支援制」「ショートカット旅行(短期旅行)推進」などを通じて、地域観光活性化と国民の余暇アクセスの向上を掲げた。

しかし、いずれも観光を独立した戦略産業とする明確な位置づけには至らず、10大公約には含まれなかった。

◇金文洙:観光は内需対策の一部、構造的な育成案は皆無

国民の力のキム・ムンス候補は、経済政策の中で観光を「内需不振の突破口」として一度言及したのみで、観光産業を独立的に育成する戦略や制度設計は見当たらない。

小規模事業者支援の一環として「小規模事業者専用の観光産業団地支援」や「災害被害を受けた観光事業者支援」を掲げたが、あくまで補助的施策にとどまっている。

済州島については「最高の観光地・航空交通の要衝として育成」と述べたが、具体的なコンテンツ開発や産業再編の構想は見られなかった。

一方で、全国を網羅する広域交通インフラの整備、特にGTX(広域急行鉄道)拡張によるアクセス性の向上は、間接的に観光促進に貢献する可能性がある。ただし、観光との直接的な連携や政策の整合性については説明が不足している。

◇李俊錫:観光に言及なし、文体部の縮小で振興機能に懸念

改革新党のイ・ジュンソク候補の公約では、観光に関する直接的な言及は皆無。むしろ、文化体育観光省を「文化省」へと機能縮小する政府再編案を掲げており、観光振興機能の後退が懸念されている。

GTX拡張やメガシティ構想など、地域間移動の利便性向上につながる施策はあるものの、観光を経済成長のエンジンとして捉えた戦略は見られない。

◇35兆ウォン産業、政策の外に

観光業界関係者や専門家は、観光政策が実質的に「消えた」との認識を共有している。文化体育観光省の資料によれば、観光産業の年間経済波及効果は35兆ウォンに上り、サービス産業全体と比較しても高い付加価値率を誇る。

漢陽大学のチョン・ランス客員教授は「過去の大統領選では『余暇観光委員会』の設置など10件以上の観光公約があったが、今回は著しく後退している」と述べ、「地域消滅対策や産業資金活用の観点からも、観光政策の強化が必要だ」と指摘する。

また、韓国旅行業協会のイ・ジンソク会長は「観光は内需拡大だけでなく、外貨獲得という輸出産業の役割も果たす。自動車輸出にも匹敵する経済効果があるが、各陣営とも国民の余暇福祉レベルにとどまり、産業保護や育成に関する公約は皆無だ」と批判した。

(c)news1

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