
韓国で予約だけして現れない“ノーショー詐欺”が外食業界を直撃している。被害は単なるドタキャンにとどまらず、企業や著名人を装った組織的な詐欺に進化。小規模な飲食店を中心に深刻な損害を与えている。
ソウル市の食堂経営者キム・ジョンヒョンさん(仮名)は、今月初めに「部署の会食」として28人の団体予約を受け、高級ウイスキーも準備したが、当日になって誰も現れず、連絡も途絶えた。「家族まで総動員した。今の不景気では打撃が大きい」と嘆く。
他にも、選挙関係者や放送関係者を名乗って団体予約を入れる手口が各地で報告されている。いずれも事前連絡は丁寧だが、当日になると姿を見せず、損失だけが残る。
こうした事態を受け、飲食店経営者の間では、詐欺に使われた電話番号を共有する“ブラックリスト”が回されており、被害防止に向けた自衛策が広がっている。
韓国消費者院によれば、2024年に受理されたノーショー被害の救済申請は212件で、前年比41%増。韓国外食業中央会の調査では、外食事業者の78.3%が直近1年以内に被害を経験している。
関係者は、予約保証金制度の導入や損害賠償の明示、政府によるモニタリングの必要性を訴える。2025年1月からは、中小ベンチャー企業省などが「小商工人生活被害申告センター」を設置し、ノーショーによる損害救済を支援している。
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