
韓国で昨年、法定最低賃金に満たない賃金で働く労働者が276万1000人に上ったことがわかった。これは全体の労働者の12.5%に相当し、最低賃金制度の実効性に対する懸念が高まっている。
韓国経営者総協会(経総)は11日、統計庁の資料を基にした「2024年最低賃金未満率分析報告書」を発表。これによると、2023年に法定最低賃金(時給9860ウォン=約1000円)を受け取れなかった労働者が276万1000人で、2001年(57万7000人)から約378.5%の増加となった。
最低賃金以下で働く労働者の比率も2001年の4.3%から2023年には12.5%へと大幅に上昇した。特に宿泊・飲食業(33.9%)、農林漁業(32.8%)など、一部業種では3人に1人が最低賃金を下回っている実態が明らかになった。
報告書では、こうした現象の背景として「企業の支払い能力を考慮せず一律に最低賃金を引き上げたこと」を主因に挙げている。消費者物価指数が2001年比で73.7%、名目賃金が166.6%上昇したのに対し、最低賃金は428.7%と急上昇。特に2014年から2023年の間に最低賃金は89.3%上がり、物価上昇率(21.2%)の約4.2倍のペースだった。
この急激な最低賃金の引き上げが、中小零細企業や自営業者にとって大きな負担となり、結果的に制度の順守が難しくなっていると指摘される。
経総のハ・サンウ本部長は「最低賃金の受容性を高めるためにも、今後は一定期間、安定的な水準での調整が重要だ。業種ごとに支払い能力に差がある点を考慮し、業種別の最低賃金適用を検討すべきだ」と提案した。
(c)NEWSIS