
世界最速の高齢化が進む韓国で、124万人にのぼる高齢認知症患者が保有する資産、いわゆる「認知症マネー」の総額が2023年時点で154兆ウォン(約16兆0582億円)に達することが、政府の初の調査で明らかになった。この額は2050年には3倍以上の488兆ウォン(約50兆9028億円)に達し、GDPの15.6%相当に膨らむと推計される。
大統領直属の少子高齢社会委員会は健康保険公団とソウル大学健康金融センターと共同で、韓国初となる高齢認知症患者の資産・所得に関する全数調査を実施した。
この調査は、日本で社会問題となった「認知症マネー」を教訓とし、制度的な対策を講じるため、2019年から2023年にかけて5年間にわたって実施された。
調査によれば、2023年時点で65歳以上の認知症患者数は約124万人で、人口の2.4%に相当。そのうち資産を保有している人は約76万人(全体の61%)で、総資産は154兆ウォン(約16兆0582億円)にのぼる。1人あたりの平均資産は約2億ウォン(約2086万円)だった。
認知症患者が保有する資産のうち、不動産が74.1%(約114兆ウォン=約11兆8902億円)を占め、金融資産は21.7%(約33.3兆ウォン=約3兆4721億円)だった。資産の多くが不動産と金融に集中していることが確認され、同委員会は「認知症による資産凍結が実体経済に深刻な影響を及ぼす可能性がある」と警鐘を鳴らした。
韓国では今後、認知症患者の急増が見込まれている。政府推計によると、2030年に約179万人、2040年に約285万人、2050年には約397万人に達するとされ、これに伴い「認知症マネー」も488兆ウォンへと急増する見通し。
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