
世界的な「K-フード」「K-防衛産業(K-ディフェンス)」ブームにより、韓国の食品メーカー・三養食品と防衛・航空産業大手ハンファエアロスペースが、株価100万ウォン以上の「皇帝株」入り目前となっている。すでに100万ウォンを突破しているサムスンバイオロジクスに続き、両社が達成すれば、韓国株式市場には計3銘柄の皇帝株が並ぶことになる。
韓国取引所によると、サムスンバイオロジクスは8日比4000ウォン(0.39%)高の104万ウォンで取引を終えた。証券会社による目標株価の平均は130万6500ウォンと、現在の株価より約25.6%の上昇余地がある。未来アセット証券、新韓投資証券、KB証券、LS証券の4社は目標株価を135万ウォンに引き上げている。
◇「ブルダック熱風」で三養食品が成長
そのサムスンに迫る勢いを見せているのが、「ブルダック炒め麺」で知られる三養食品だ。9日の取引で同社株は前日比2万1000ウォン(2.16%)高の99万3000ウォンで終値を記録し、取引中には99万8000ウォンまで上昇した。皇帝株まで残りわずか2000ウォンに迫った形だ。
ブルダックブランドが世界市場で絶大な人気を博しており、同社の実績も大きく成長。DS投資証券のチャン・ジヘ研究員は「生産能力の拡張と海外輸出の拡大が成長の牽引役になる」と分析している。
また、三養食品はモルガン・スタンレー・キャピタル・インターナショナル(MSCI)の韓国指数に新たに組み込まれる候補銘柄としても注目されている。MSCI指数への採用は、連動するパッシブ運用資金の流入が期待され、株価上昇の追い風になる。
5月のMSCI韓国指数への組み入れ候補として、韓国の主要証券6社(韓火投資証券、サムスン証券、NH投資証券、ユアンタ証券、ハナ証券、新韓投資証券)が三養食品を挙げている。
◇現代自動車を超えたハンファエアロ、「海外受注」で急伸中
一方、防衛産業を牽引するハンファエアロスペースも有力な皇帝株候補だ。9日時点の終値は87万8000ウォンで、年初来168.91%の急騰を記録。時価総額も昨年末の14兆8822億ウォンから40兆203億ウォンへと増加し、現代自動車(時価総額39兆7681億ウォン)を抜いて5位に浮上した。
同社は四半期ごとに市場予想を上回る「サプライズ決算」を記録しており、2025年1~3月期の連結売上高は5兆4842億ウォン、営業利益は5608億ウォンと、いずれも過去最高となった。
メリッツ証券のイ・ジホ研究員は「既存の受注をもとに安定成長しており、海外拠点を通じた輸出拡大も見込まれる」と展望を語っている。
K-コンテンツだけでなく、食品や防衛といった実体経済分野における韓国企業の国際的な躍進が、韓国株式市場に新たな勢力図を描きつつある。
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