
韓国映画館業界が、構造的な低迷と観客離れにより、存亡の危機に直面している。2位のロッテシネマと3位のメガボックスが、収益改善ではなく“生存”のために合併を決断したことが、その深刻さを物語っている。
映画振興委員会によると、2025年1~3月期の韓国国内ボックスオフィス観客数は2082万人で、前年同期(3091万人)の3分の2にまで減少した。売上高も前年より33.6%減の2004億ウォンにとどまり、映画館業界全体が急速に縮小している。
最大の要因は、NetflixなどのOTT(オンライン動画配信サービス)による視聴習慣の定着だ。2023年の映画館観客数は1億2313万人で、コロナ前の2019年(2億2668万人)の半分に過ぎず、コロナ禍以降に値上げされたチケット価格も来場者減少に拍車をかけている。
さらに、2024年には「破墓」や「犯罪都市4」など“1000万人ヒット作”が複数あったのに対し、今年は大きなヒットが出ておらず、最大の興行作「ミッキー17」ですら観客数300万人にとどまっている。
こうした中、主要シネコンの業績は軒並み赤字。メガボックスは2025年1~3月期に103億ウォンの営業赤字を計上し、前年同期(-14億ウォン)より赤字幅が635%増。CJ CGVも国内映画事業に限れば310億ウォンの赤字となり、こちらも前年(-147億ウォン)から倍増した。
このような厳しい状況の中で、ロッテシネマとメガボックスが合併を決めたのは「沈没を防ぐための苦渋の選択」だった。毎四半期数百億ウォン規模の赤字が積み重なる中、合併によって重複投資や過当競争を避け、コスト削減を図るしかなかったという。
だが、より深刻な問題は「ヒット作の枯渇」にある。業界関係者は「観客を呼び戻すカギは話題作の創出だが、今の映画産業にはそれを継続的に供給する力がない」と口を揃える。
業界関係者は「これまでは撮り溜めていた“倉庫映画”でしのいできたが、今は新しく製作される作品自体が極端に少ない。大規模な資本投資でブロックバスター級の作品が必要だが、その資金調達が非常に難しいのが現実」と嘆いた。
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