
韓国の銀行が代筆を認めてくれず、屈辱的な扱いをされたという視覚障害者の訴えが相次いでいる。「自分でできることは自分ですべきで、なぜ他人に頼ろうとするんですか?」と暴言を吐かれた人もいるほど。国会では法的な整備を求める動きが出ている。
今年3月、住宅申し込み順位確認書を発行してもらうため銀行を訪れた女性のワン・ジョンウォンさん(59)は職員から署名を強く求められた。先天性の視覚障害でハングルを学ぶことができず、普段から支援者の助けを借りて署名してきた。事情を説明しても行員は「そのやり方では手続きできません」とかたくなだった。
ワンさんが「私は点字しか書けません。点字で書きましょうか?」と反論し、ようやく行員は支援者の代筆を許可した。こうした経験はここ数年で4回あった。周囲の視覚障害者も同じような扱いを受けているという。
「たかが書類1枚で、まるで悪いことをした子どものように説教され、侮辱される。次はどんな行員が出てくるかと思うと卑屈になり、自信を失ってしまう」とワンさんは語る。
最大の問題は、対応が統一されていない点にある。金融委員会は2018年、署名が困難な障害者に対し、通帳やクレジットカードなどの発行時に録音やビデオ通話で本人確認を代替できるよう改善策を発した。
しかし、2023年に出された「視覚障害者の銀行取引対応マニュアル」は、商品に加入する際には本人が自ら署名・押印することを求めている。
一方、ワンさんがやり取りをした銀行は「顧客の同意があれば録音で意思確認を残し、署名は職員などの代理でも可能」と説明。内部規定上は代替手段があるとしている。
視覚障害者でもある与党「国民の力」のキム・イェジ議員は4月25日、本人確認手続きが困難な視覚障害者に代替手段を提供するよう金融機関に義務付ける法律の改正案を代表で発議した。キム議員は「金融はすべての人に保障されるべき基本権だ」と話している。
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