
大学進学を希望する障害者が韓国で年々増加する中、各大学の対応は依然として不十分だ。特に学内にエレベーターのない建物が多く、移動に大きな不便を強いられている。
NEWSIS記者は1日、脳性まひによる重度障害者のチェ・ジェホさん(25)とソウル市内の大学を訪ねた。チョさんはある大学の政治外交学科4年だ。
チョさんが最も頻繁に利用する社会科学大学の建物は地上7階・地下2階建て。障害者用エレベーターが2基あるが、1階にはスロープがないためエレベーターに乗るには約100メートルの坂道を遠回りして2階の裏口から入る必要がある。また、エレベーターの乗降口には段差があり、車椅子が引っかかる危険性もある。
工学部の建物は5階建て。1階にスロープがあるものの、2階から上は階段でしか移動できない。「障害者呼び出しベル」があるが、手すりが邪魔で押せないケースもあった。
続いて訪れた文科大学では、建物2棟をつなぐ連絡通路の鉄扉に「防火扉常時閉鎖」の案内が貼られ、通行が遮断されていた。また、「障害勤労学生」制度の窓口がある本館にすらエレベーターがなかった。
「車椅子で坂を登ると肩が痛くなるし、夏は汗だくになる。改善は進んでいるが、細かな不備が多い」とチョさん。大学の障害学生支援センターは「エレベーター未設置の建物には順次設置を検討している」と説明した。
2022年のデータによると、韓国で障害のある大学生は9824人。身体障害者が約38%(3802人)を占める。しかし、重度身体障害者が多く在籍する上位9大学では、401棟のうち99棟にエレベーターが設置されておらず、根本的な解決にはエレベーターの設置が不可欠との声が高まっている。
三育(サムユク)大学建築学科のイ・ギュイル教授は「大学は高等教育機関として障害者のアクセスと利便性確保において最も模範的であるべきだ。全ての教室にアクセスできるよう教育省や国土交通省などの制度的支援が必要だ」と強調した。
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