
「韓国人は中国人に冷たいと聞いていたけど、実際はみんな親切で街も清潔。東京より魅力的だった」――中国最大のオンラインコミュニティに投稿されたある旅行者の韓国旅行レビューが注目を集めている。
かつて最新鋭迎撃システム「終末高高度防衛(THAAD)ミサイル」問題や韓流制限令で冷え込んでいた中国人観光市場が回復し、訪韓者数が急増。日本・中国・台湾などの東アジアの国・地域に加え、インドネシア・ベトナムなど東南アジア諸国からの訪韓観光客も右肩上がりで、2019年の過去最高記録を超え「年間2000万人時代」が再び到来するとの期待も高まっている。
韓国観光公社によると、2025年3月に韓国を訪れた外国人観光客は161万人で、コロナ前の2019年同月比で5.1%増。中国からは41万7000人が訪れ、昨年(7万3000人)の約6倍に達した。日本からも38万3000人が訪れ、昨年の2倍以上に増加。タイ・シンガポール・マレーシアなど東南アジア6カ国からの訪問者も計22万5000人に達し、3月累計では前年比13.7%増の約340万人となった。
同期間の観光消費額も前年比10.6%増の1兆8769億ウォンを記録。免税店の売り上げや観光企業数も増加し、観光業界関係者は「個人旅行(FIT)や中国制裁の影響がなければ、2019年のピーク水準への回復も現実的だ」と語る。
東南アジアでは、物価高や入国制限の影響でタイやフィリピンからの訪韓がやや減少した一方、ベトナムやインドネシアからの観光客が大幅に増加。特にインドネシアからの訪問者数は前年比23.8%増で、全ての国の中で最大の伸び率を記録した。
インドネシアは人口が約3億人と巨大市場で、韓国での1人あたり日額消費額は53万ウォンと平均を上回る。ベトナムも滞在日数が長く、満足度も高い傾向にあり、香港は再訪率で世界一を誇る。
アジアで韓国が人気を集める背景には、低物価、K-POP・ドラマなどの文化コンテンツ、ショッピング環境の良さがある。また、競合国である日本が最近、宿泊税や観光地の入場料を引き上げたことに加え、円高による旅行コストの上昇もあり、アジア観光客の関心が韓国にシフトしている。
韓国観光の人気とは裏腹に、観光体験の質とインフラに対する不満の声も一部で上がっている。ヤノルジャリサーチが発表した「2024年韓国観光ブランド資産評価」によると、2023年の外国人観光客数は前年比48.4%増加したが、オンライン上での言及数やブランド認知度はむしろ下落した。
低価格志向による観光の質の低下や、インフラ不足によるネガティブな印象が主な原因とされている。
ヤノルジャリサーチのチャン・スチョン院長は「観光客数の増加は意味ある成果だが、ブランド資産の下落は“観光の質”と“体験の深み”にもっと注目せよという警告だ」と強調した。
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