2025 年 5月 5日 (月)
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北朝鮮、海軍力増強を宣言、だが韓国海軍には遠く及ばず…注目集まる原子力潜水艦建造の現実味

北朝鮮の新型駆逐艦「チェヒョン号」(c)NEWSIS

北朝鮮が新型多目的駆逐艦「チェヒョン号」を公開し、同艦に搭載したとする各種ミサイルの発射試験を実施するなど、海軍力の増強に力を入れている。しかし、全体的な戦力や技術力では依然として韓国海軍に大きく後れを取っており、特に注目される原子力潜水艦建造計画についても、実現の可能性には疑問符が付いている。

◇北朝鮮、「チェヒョン」公開で“海軍強化の号砲”

北朝鮮は4月29~30日、北朝鮮のキム・ジョンウン(金正恩)朝鮮労働党総書記の立ち会いのもと、新型駆逐艦「チェヒョン」に搭載された兵器システムの性能と実戦適用性を試験。発表によれば、超音速巡航ミサイル、戦略巡航ミサイル、地対空ミサイル、艦対艦戦術誘導兵器、127㎜艦載砲、電子妨害砲などが使用されたという。

キム総書記はまた「第二の号砲は核動力潜水艦(=原子力潜水艦)建造である」と強調し、太平洋を活動海域とする“遠洋艦隊”の創設計画にも言及した。

◇数で上回るも、質では大差…韓国海軍に圧倒される北朝鮮

北朝鮮は駆逐艦や小型艦艇を多数保有しているが、国際的な海軍力ランキングでは韓国に遠く及ばない。2025年版「世界現代軍艦ディレクトリ(WDMMW)」によると、北朝鮮は14位、韓国は5位。グローバルファイヤーパワーによるトン数ベースの評価では、韓国9位、北朝鮮21位とさらに差が開く。

韓国がイージス駆逐艦「世宗大王級(7600トン)」や「正祖大王級(8200トン)」など、戦術・技術両面で優れた大型艦を数多く保有しているのに対し、北朝鮮の艦艇は旧式かつ小型が主流だ。遠洋作戦能力は低く、レーダーや対空・対潜戦能力も限定的と評価されている。

加えて、朝鮮半島の地理的構造上、北朝鮮は日本海と黄海を自由に連結する海路がなく、南海経由での艦隊移動は時間もかかり、韓国軍に容易に捕捉されるリスクがある。

◇核潜水艦建造の現実性は?

北朝鮮は2021年に発表した「国防力発展5カ年計画」の中で原子力潜水艦の建造を明言しているが、その実現性は依然として不透明だ。軍関係者は「短期間での建造は非現実的」としつつも、「もしロシアなどから先端技術や運用ノウハウを取得すれば、開発が加速する可能性も否定できない」と警鐘を鳴らした。

韓国国防研究院(KIDA)のユ・ジフン対外協力室長も「北朝鮮の水上艦艇が核弾頭搭載の巡航ミサイルや弾道ミサイルを運用するようになれば、朝鮮半島だけでなく東アジア地域全体への脅威となる」と述べ、警戒を強めるべきだとした。

また「海上からの脅威には海上で対応する必要がある」として、韓国側も原子力潜水艦の導入を一つの選択肢として検討すべきだと主張している。さらに「北朝鮮の作戦半径拡大に備え、韓日米3カ国による連携強化が急務だ」と強調した。

(c)news1

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