
韓国大統領権限代行を務めるハン・ドクス(韓悳洙)首相は1日午後4時に発表した「国民向け談話」で「私たちが直面している危機を克服するために、私ができること、私がすべきことをするために、職を退くという最終決定を下した」と明らかにした。
ハン・ドクス氏は今回の判断について「この厳しい時期、私が背負った責任の重さを考えると、この決定が本当に正しいのか、また避けられないものなのか、長く苦悩し熟考した末に、この道しかないならば行くべきだと決断した」と語った。
1970年に公職に就き、韓国経済の最前線で50年近く働いてきた点を強調して「国民の働き手として、また生き証人として尽力してきた」と振り返った。
ハン・ドクス氏は「世界10位圏の韓国経済がG7水準へとしっかりと成長するのか、それとも現状にとどまり後れを取るのか、韓国政治が協治(互いに協議して主要な懸案を処理すること)の道を歩むのか、それとも極端な政治に陥るのか、この二つの分かれ道が今、我々の手にかかっている」と力説した。
また「世論に左右される不合理な経済政策では、対外交渉において国益を確保することはできない。我が国産業の競争力を築くことも、地域経済を活性化させることもできない」と訴えた。
そのうえで「極端な政治を捨て、協治の基盤を築かなければ、誰が政権を取ろうとも分裂と葛藤が繰り返されるだけだ。この二つの問題を解決しない限り、我々はここで立ち止まってしまうかもしれないという切迫した危機感を抱いている」と述べた。
ハン・ドクス氏は、通商秩序の変化による輸出危機と地政学的安全保障の不安を危機として挙げた。「韓国は輸出で成り立ってきた国だが、世界の通商秩序が急変している。韓国は安全保障が生命線だが、我々を取り巻く地政学的秩序が先を見通せないほど揺れている」と指摘。「韓国は団結して危機を克服してきた国だが、今の社会は陣営対立の泥沼にはまり、すでに数年、いかなる合理的な議論もなされていない。これまで何が私の責任を果たす道なのか悩んできた」と説明した。
ハン・ドクス氏は「私の前には二つの道がある。一つは私が今担っている重責を果たす道、もう一つはその重責を下ろして、より大きな責任を負う道だ」との見解を示した。そのうえで「私たちが直面している危機を克服するために、私ができること、私がすべきことをするために、職を退くという最終決定を下した」と明かした。
最後に「私は未熟な人間だ。しかし国家のために私が最善と信じる道を、この瞬間にも、そして今後も、言い訳なく、最後まで進んでいく」とアピールした。
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