
韓国の即席麺大手、三養(サミャン)食品が2025年1~3月期に、四半期ベースで初めて営業利益1000億ウォン(約100億円)を超える見通しとなった。北米、欧州、東南アジアなど海外市場での好調な輸出と、主力商品の「ブルダックポックンミョン」シリーズの人気が追い風となった。
金融情報会社FnGuideによると、三養食品の2025年1~3月期連結基準の営業利益は約1060億ウォンと予想されており、前年同期比27.9%増。売上高も約4951億ウォン(28.3%増)と、いずれも四半期ベースで過去最高を更新する見込みだ。
業績をけん引しているのは、やはり「ブルダックポックンミョン」シリーズ。2012年の発売以来、強烈な辛さを武器に「K-スパイシー」の代表格として世界中で知られるようになった。同シリーズは、カルボナーラ味やロゼ味、麻辣味などバリエーションを増やし続けている。近年では、SNSを通じた「激辛チャレンジ」動画の流行でブランド認知度が一気に拡大した。
特に、米国のコストコやウォルマートなど大手量販店への進出が進み、北米市場での人気が高まっている。欧州や東南アジア市場でもシェアを急拡大中だ。海外市場ではブルダックシリーズにプレミアムなイメージが付加されており、価格への敏感さが比較的低い点も強みとされる。
新韓投資証券のチョ・サンフン研究員も「米国メインストリーム市場での存在感はそのままに、欧州や東南アジアでの輸出拡大が続いている」と評価している。
証券業界では、三養食品の1~3月期輸出売り上げ高が前年同期比40%以上増加したと分析している。売上高全体の約80%を輸出が占めているため、輸出拡大が業績改善に大きく寄与したとみられる。
また、ブルダックシリーズの生産拠点である慶尚南道・密陽(ミリャン)工場の稼働率は、2023年の60%台から今年第1四半期には83%まで上昇したと推定される。さらに、今年下半期からは密陽第2工場も本格稼働を開始し、生産能力がさらに拡充される予定だ。
一方で、対外リスクも残る。トランプ米大統領が韓国製品に対し25%の相互関税を課すと表明しており、米国輸出依存度が高い三養食品にとっては負担となる可能性がある。ただ、トランプ大統領は関税措置を90日間猶予するとしており、当面の影響は限定的と見られている。
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