
2022年、韓国でうつ病患者が初めて100万人を超えた。特に注意が必要なのが春で、自殺率が最も高くなる「スプリング・ピーク」が顕著に現れる。春は日照量や気温の急変によって「春季うつ」が起こりやすく、心理的な不安やホルモンバランスの乱れも影響する。
慶熙大学病院のイ・アラ教授は、春は入学や就職といった新たな始まりが重なり、心理的負荷が増すと指摘。日照量の増加がセロトニンとメラトニンのバランスを崩し、感情の起伏を激しくさせるという。症状は気分の変動、無気力、睡眠障害、集中力低下などで、春の気候変化と合わさり悪化することがある。
保健福祉省の統計によると、2021年以降の3年間で春の自殺者数は冬より平均約20%多く、これは世界的な傾向とされる。イ・アラ氏は、春の活動量増加や社会的期待、孤独感が影響していると分析。うつ症状が重い人ほど、春の変化に敏感で絶望感を強めやすく、周囲の温かな見守りが重要だと述べた。
治療には薬物、心理、認知行動療法の併用が効果的で、自己判断で服薬を中止すると再発リスクが高まる。イ・アラ氏は、医師との信頼関係を築き治療計画を守ることが回復の第一歩とし、うつ病は誰でもかかりうる治療可能な病気だと強調する。
また、周囲の理解と支援も不可欠で、感情を表に出し、日記や対話による自己開示が回復に寄与する。判断せず話を聞き、共感する姿勢が大切だ。春の不調を軽視せず、早期発見と対応が命を守る鍵となる。
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