
韓国の高位公職者犯罪捜査処(公捜処)が過去9カ月間で約600件の事件を受理したものの、検察官の人員不足により業務が著しく停滞している。検察官1人あたり60件前後の事件を担当するという極端な過重労働が続く中、大統領・権限代行者による検察官任命が滞り、法改正を求める声が高まっている。
与党「共に民主党」のチャン・ギョンテ議員室が公捜処から受け取った資料によると、2024年7月から2025年3月末までに公捜処が受理した告訴・告発事件は598件、職権捜査は6件にのぼる。
しかし、検察官の定員が25人に対し、現在の実働人数は14人に過ぎず、うち実際に捜査を担う平検事はわずか10人。4つある捜査部門のうち2つは実質的に閉鎖状態で、深刻な人手不足が続いている。
さらに、公捜処は昨年から続く「非常戒厳」宣布の関連事件の捜査に全検察官を投入しており、他の事件には手が回らない状況だ。捜査処関係者は「非常戒厳事件の捜査を終えてからでなければ、他の案件に着手できない」と述べ、「人事委員会が推薦した検事が未だに任命されず、業務に多大な支障が出ている」と苦しい現状を語った。
公捜処は人員補充のため、昨年9月に部長検事1人・平検事2人、今年1月に部長検事1人・平検事3人の計7人を新たに推薦し、任命を要請した。しかし、大統領だったユン・ソンニョル(尹錫悦)氏は任命を保留し続け、3人の検事の任命は弾劾まで処理されなかった。
その後、ユン氏の弾劾により任命権を引き継いだハン・ドクス(韓悳洙)首相も検察官を任命しないまま放置している。
こうした状況に対し、法曹界では強い批判の声が上がっている。公捜処人事委員のイ・チャンミン弁護士は今月14日、ハン首相を職務遺棄および職権乱用の疑いで警察に告訴した。
成均館大学法科大学院のミン・マンギ教授は「公捜処の検察官任命は、憲法裁判所裁判官の任命以上に政治的思惑を排除すべき事案。公捜処長が公文を通じて任命を強く要請すべきだ」と主張した。
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