2025 年 4月 20日 (日)
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「トランプ関税で危機?口にしたら銀行から電話が来る」韓国中小企業、沈黙の窮地 [韓国記者コラム]

トランプ米大統領(c)AFP/news1

トランプ米大統領の関税政策が現実化し、韓国の中小企業は板挟みに陥っている。米国向け輸出製品に最大25%の関税が課せられる中、企業は支援を求めて声を上げたいが、同時に「危機の発信」が信用不安につながることを恐れて沈黙している。そんな矛盾に苦しむ中小企業の姿が浮き彫りになっている。

現在、韓国に課される米国の関税は基本10%に加え、報復的な「相互関税」15%が追加され、合計25%に達する。これは企業の価格競争力を大きく損なうものであり、実際に輸出契約の延期や中止が各地で発生している。

韓国だけではない。ベトナムや中国といった他のアジア主要輸出国も同様に関税の標的となっており、特にベトナムでは46%、中国に至っては最大104%の関税が米国から課せられている。

海外に生産拠点を移してきた韓国の中小・中堅企業にとって、これはまさに想定外の事態であり、生き残りを懸けた必死の対応が求められている。とはいえ、取材に対して積極的に声を上げる企業は少ない。

「今のところ在庫でしのいでいる」「状況を見守っている」などと曖昧な返答が目立ち、企業名を出して報じられることを極度に警戒する姿勢がうかがえる。背景には金融機関や元請け大企業の「目」がある。

多くの中小企業は、大企業の協力会社としてベトナムや中国に進出しており、元請けの意向を無視できない立場だ。加えて、国内経済の低迷や高金利・ウォン安の中で体力を消耗した企業には、金融機関からの圧力も大きな不安材料となっている。

実際、ある経営者は「関税の危機について報道されると、まず取引銀行から電話が来て融資の可否を問われる」と証言している。

こうした状況に対し、オ・ヨンジュ(呉姈姝)中小ベンチャー企業相は国会で「企業の現状を把握し、支援が漏れないようにする」と述べたが、関税政策が選挙公約として明言されていたトランプ氏の動きに比べれば、政府の対応は後手に回っているとの指摘は否めない。

すでに関税の影響は為替市場に波及しており、中小企業の存続を危うくしている。今、必要なのは迅速な実態把握と、何より現場に届く実効性ある支援策だ。トランプ政権の政策に翻弄される中、せめて韓国政府だけでも企業に「信頼」を与える存在であってほしい。【news1 キム・ヒョンジュン記者】

(c)news1

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