
韓国IT大手カカオが、グループ内の主要事業を除く複数の系列会社の売却説に揺れている。生成AIとメッセンジャー「カカオトーク」を中心とした“選択と集中”戦略を掲げる中、ポータルサイト「Daum(ダウム)」、ゴルフ、モビリティ、エンターテインメントなど多方面で売却説が浮上し、組織内の動揺が広がっている。
非上場子会社であるカカオモビリティ、カカオVX(ゴルフ)、カカオエンターテインメントに続き、Daum事業を含むコンテンツ部門の分社化も議論されているという。特に注目されているのは、今月9日に浮上したカカオエンターテインメントの売却説だ。カカオ側はすぐに「確定した事実はない」と否定したが、カカオエンタの共同代表も「財務的投資家との協議が曲解された」と社内掲示板で釈明するなど、火消しに追われた。
しかし、社員の不安は消えない。先月、Daumの分社化計画が明らかになった際にも、カカオ労組が強く反発。チョン・シナ代表は「現在のところ売却の検討はしていない」と述べたが、「将来的な可能性は排除していない」との受け止め方もされている。
売却が噂される系列会社には共通して外部からの出資があり、当初は上場による投資金回収を目指したが、規制や実績不足などでIPOが不発に終わり、売却が選択肢として浮上している。たとえば、カカオモビリティは市場シェア95%を占めるタクシー呼び出しサービスで事実上の独占企業として規制対象とされており、過去には「売り上げ水増し疑惑」で金融当局の監査も受けた。
また、カカオエンターテインメントは、香港系PEファンド「アンカーPE」(12%)やサウジアラビアの国富ファンドPIF(5.1%)が出資しているが、SMエンタ買収に絡む創業者キム・ボムス氏の司法リスクや、コンテンツ部門の業績悪化により上場は困難とされている。
さらに、カカオゲームズ傘下のカカオVXも昨年は1241億ウォンの売り上げに対して134億ウォンの営業赤字、カカオヘルスケアも119億ウォンの売り上げに対し349億ウォンの赤字を記録するなど、赤字が慢性化している。
実績悪化はグループ全体にも影響している。調査会社FnGuideによると、カカオの2025年1~3月期の予想業績は売り上げ1兆9400億ウォン、営業利益1080億ウォンと、前年同期比でそれぞれ3%、11%の減少が見込まれている。
カカオ労組は「どの系列会社が売却されるのかもわからず、社員の不安は増すばかりだ。過去にもカカオモビリティ売却を一度否定しておきながら、1週間後には売却を公式発表した前例がある」と批判している。
カカオは2023年末時点で国内に138社の系列会社を抱えていたが、過剰な事業拡張という批判を受け、昨年末には119社まで縮小している。
投資銀行関係者は「オーナーリスクがあり、系列会社の数も多すぎる。しかも“共生”を掲げるカカオにそぐわない事業も多い。今後さらに多くの事業が売却されるとの見方が業界全体に広がっている」と語った。
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