既存のゲームに飽きて…15万人殺到
「お金を使うゲーム」から「お金を稼ぐゲーム」へ――ゲーム産業の状況が変化しています。韓国のゲーム各社がNFTゲームを新成長エンジンと掲げる一方で、政府はギャンブル性を懸念して躊躇しています。韓国の実情を取材しました。(シリーズ1/4回)
韓国初の「カネ儲けゲーム」(P2E=Play to Earn)が登場し、瞬く間に15万人以上が押し寄せた。P2Eゲームはゲーム内の財貨を現金化できる。そのギャンブル性への懸念のため、韓国では事実上、流通が禁止されているが、ユーザーは新たな形式のゲームに歓声を上げている。
世界的にP2Eゲームが広がる。それだけに韓国国内でも議論を本格化すべきだという声が高まっている。
韓国ソフトウェア開発「アイジーエイワークス(IGAWorks)」のビッグデータ分析ソリューション「モバイルインデックス」によると、昨年12月4日にモバイル逆遂行ゲーム(RPG)「無限突破三国志リバース」の1日当たりのアクティブユーザー(DAU)が、GoogleとAppleのアプリマーケットを合算し、計15万4000人を突破した。
11月28日まで3800人レベルだったDAUが1週間で40倍に急増したのだ。「無課金で、30分に1万ウォン稼げる」という口コミが広がり、GoogleとAppleのアプリマーケット人気1位に浮上した。
ゲームをしてお金を稼ぐ――これがP2Eだ。任務を遂行するたびに「ムドーコイン」を支給する。カカオブロックチェーン系列会社「グラウンドX」が発行した仮想通貨「クレイトン」(KLAY)に変換すると、仮想通貨取引所で韓国ウォンに両替できる。
ゲームの人気に支えられ、昨年11月末に130ウォンだったムドーコインは一時552ウォンまで上昇した。4倍以上だ。まだ本格的にNFTを適用していないが、今後、NFTベースのP2Eゲームに進化する見込みで、その将来性が見込まれている。
韓国ではP2Eゲームは事実上、禁止されている。ゲーム物管理委員会がP2Eゲームの換金性が射幸心をあおりかねない、として「等級」を出さないからだ。
ゲーム開発会社「ナトリス(Natris)」は、独自の格付け事業者であるGoogleとAppleからゲーム格付けを受け、今回のゲームを発売した。これに対してゲーム物管理委は、事後のモニタリングで違法性の有無を検討する方針だ。同委関係者は「違法な事項があれば等級分類取り消しなど、職権で再分類の手続きに入る」と述べた。
◇韓国ゲーマー、P2Eに歓呼
韓国でゲーマーの反応は熱い。最近このゲームを始めたというパクさん(33)は興奮を隠せない。
「従来のゲームより、楽しさは少ないが、カネを使ってこそ勝つ『Pay to Win(P2W)ゲーム』よりやりがいがある。自分が費やした時間だけ、報われた気分」
国内でP2Eゲームができなくなるとして、海外ゲームを探している利用者も少なくない。
ベトナムのNFTゲーム「アクシー・インフィニティ(Axie Infinity)」は、開発会社のウェブサイトからアプリケーションのインストールファイルをダウンロードすればすぐにゲームができる。
ポータルでは「ウィメイド(WEMADE)」のP2Eゲーム「MIR4」グローバルバージョンに接続するため、VPNに関する問い合わせが相次いでいる。
海外のP2Eゲーム「Bunicorn」利用者である40代の自営業者イさんの場合――1日5~10分のゲームで1万5000ウォンを稼ぐ。
イさんの見方はこうだ。
「発売1カ月には1日20万ウォンも稼いだが、最近はコイン価格が下がり収益が減った。既存のゲームは高品質だが絶え間ない課金誘導でユーザーを疲れさせるだけ。ゲーム性と収益性を兼ね備えたP2Eゲームに人気が集まるだろう」
韓国では「門戸を開く必要がある」という声が高まる。すでに、国内ゲーム会社やユーザーが規制の死角地帯を求めて、海外のサービスを求めており、P2Eゲームの流れには抗えないという。
ブロックチェーンゲームプラットフォーム「PlayDapp」の「神と共に」を楽しむ30代のあるゲーム開発者はこんな話をした。
「メタバースが脚光を浴び、デジタル経済も同時に成長するだろう。ゲームがデジタル経済の重要カテゴリーだという点で、P2Eも前向きに検討する時期に来ている」
(つづく)