
2026年1月に入居が予定されている韓国光州市西区金湖洞(クモドン)の「WEPARK馬勒(マルク)公園」マンション。約900世帯が入居する大型マンションだが、その進入路の一部区間が軍事施設保護区域に含まれており、マンションの使用承認が下りない可能性が浮上している。
韓国監査院は、問題の進入路について「適法な推進方法を講じるように」と光州市に通知したが、現時点では有効な代案は示されていない。
監査院が24日に発表した「光州広域市における軍事施設保護区域内の違法道路使用および道路開設事業の推進に関する監査報告書」によれば、WEPARK馬勒公園マンションと「U大会道路」(光州市が2015年のユニバーシアード大会のために建設した往復6車線の道路)を結ぶ進入路「馬勒道路」は、国防省の事前承認を得ずに着工されたことが明らかになった。
馬勒道路は民間公園特例事業の一環として民間資金で建設され、完成後に光州市に寄付される予定だった。2020年6月に実施計画が告示され、9月に着工。道路は往復4車線、全長513メートルで、このうち230メートルが軍事施設制限保護区域に該当する。総事業費は182億ウォン(約20億円)。
しかし、光州市の道路開設協議要請に対し、韓国空軍本部第1戦闘飛行団は「不同意」と回答した。協議が不調に終わったまま着工されたため、この道路は「違法道路」とされている。
空軍は2023年6月と7月の2回にわたり、光州市に対して道路工事の中止および既存工事の撤去を要求した。しかし光州市は、工事中断による民間事業者への補償負担(約43億ウォン)のうち未投入分26億ウォンを市が負担せざるを得なくなることなどを理由に工事を継続しており、軍事基地および軍事施設保護法に違反している状態だ。
監査院は報告書で「馬勒道路が開通すれば軍事基地法違反のみならず、爆発物安全距離を順守しないため、爆発事故の危険性にさらされる」と指摘している。近隣の馬勒洞には1975年に設置された空軍の弾薬庫があり、周辺212万平方メートルが制限保護区域に指定されている。制限保護区域は「軍事施設の最外郭から半径1キロ以内の範囲」と定められ、馬勒道路はこれに含まれる。
現在、光州市が合法的に馬勒道路を推進するには、空軍本部の「同意」が必要だ。しかし、地域住民は軍事施設保護区域であるがゆえ、50年間にわたり財産権行使が制限されてきた経緯があり、マンション建設に伴う軍の同意に対する強い反発は避けられない
一方、仮に馬勒道路の開設が不可能となれば、マンションの使用承認が下りず、入居予定者との間で訴訟問題に発展する可能性も懸念されている。
金湖洞軍事保護区域縮小推進委員会のイ・ビョングァン委員長は「50年間にわたり土地の財産権が制限され、各種開発行為も規制されてきた。軍事施設保護区域の早期解除や縮小が急がれる」と訴えている。
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