韓国大統領選の保守系野党「国民の力」候補、ユン・ソンヨル(尹錫悦)氏が選挙を1カ月後に控え、中道野党「国民の党」のアン・チョルス(安哲秀)候補との一本化の可能性を示唆している。アン候補が1月以降、支持率で足踏みしていることから、主導権を握ることができると判断したためだ。
このため、ユン候補が次期政権の組閣に関する権限をアン候補に与えるという案を提示して一本化するという「談判論」が提起されている。ただ「一本化」についてはイ・ジュンソク(李俊錫)代表ら「国民の力」内で反対論も根強い。
ユン候補は8日報道されたあるインタビューで「(一本化の可能性を)排除する必要はない。アン候補は政権交代のために大統領選に出た方という点で、私と方向が同じだ」と述べた。さらに「一本化をするなら、外部に公開して進めるのではなく、アン候補と私の間で電撃的に決定する事案だ」と強調した。
「国民の力」の一部でも、アン候補との一本化を求める声が相次いでいる。選挙対策本部政権交代同行委員会のイ・ヨンホ(李容鎬)対外協力本部長はYTNラジオで「今は政治決断による一本化が必要だ」とユン候補に決断を迫った。ウォン・ヒリョン(元喜龍)政策本部長も一部メディアとのインタビューで「一本化するかどうかで薄氷の勝負が分かれる可能性がある。候補登録前に一本化すべきだ」と主張した。
一方、アン候補は「こうした問題を公に話すこと自体、真剣さのないものと思う。われわれと事前に協議をしたことはない」と指摘している。
ユン候補が一本化交渉の決断を下す場合、イ・ジュンソク代表を含め「自強論」を強調する人物をどう説得するかが課題だ。実際、イ代表側では不快感が漂っている。イ代表は「一本化は2位、3位の候補がすること」「アン候補の孤独な決断を期待する」「一本化は敗北者の言葉」など厳しい言葉を続けている。
キム・チョルグン党代表政務室長は「トップにいるユン候補に対する不安をつくり上げ、まるで一本化だけが万病治療薬であるかのように、ごまかされている可能性が高い」としたうえ「あちこちで仲介をしようとする人が出ているが、個人的にもわが党にも政治的にも、得するより失うものが多い」と指摘した。
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