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韓国の総合電子部品メーカー「LGイノテック」が、新製品である車両用アプリケーションプロセッサー(AP)モジュールを前面に押し出し、本格的に車載部品市場の攻略に乗り出す。これにより、既存の車載部品事業を車両用半導体分野へと拡大することが可能となる。
「車両用APモジュール」は、車両内部に搭載され、先進運転支援システム(ADAS)やデジタルコックピットなど、自動車の電子システムを統合制御する半導体部品だ。コンピューターのCPUのように、車両の「頭脳」の役割を果たす。
自動運転やコネクテッドカー(インターネットへの常時接続機能のある自動車)の進化により、APモジュールの需要は急増している。従来のPCB基盤の半導体チップでは、高度化したADASや高解像度ディスプレイを搭載したデジタルコックピットの膨大なデータ処理に限界があるためだ。
世界の車両に搭載されるAPモジュールは、今年の3300万個から2030年には1億1300万個に増加し、年間平均22%の成長が見込まれている。LGイノテックが発表した「車両用APモジュール」の最大の強みは、そのコンパクトさにある。
6.5cm×6.5cmサイズの小型モジュールには、データ・グラフィック処理、ディスプレイ、マルチメディアなどを制御する統合チップセット(SoC)、メモリ半導体、パワーマネージメントIC(PMIC)など、400個以上の部品が内蔵されている。
このモジュールを使用することで、従来よりもメインボードのサイズを小型化でき、完成車メーカーの設計自由度が向上する。さらに、内部部品の高密度化により、部品間の信号距離が短縮され、制御性能が大幅に向上した。
LGイノテックは、車両用APモジュールの性能を今後も強化していく。今年中には最大95℃までの動作を可能にするための放熱性能の向上を図る。また、仮想シミュレーションを活用して、製品の歪み(warpage)を予測し、開発期間の短縮も目指している。
現在、LGイノテックは今年後半の初回量産を目標に、北米をはじめとするグローバル半導体企業に向けた積極的なプロモーションを展開している。
ムン・ヒョクス代表は「車両用APモジュールの開発をきっかけに、半導体部品事業の拡大に弾みがつくだろう。今後も差別化された顧客価値を提供し、グローバル企業から信頼される革新パートナーとして成長していく」と強調した。
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