トランプ米大統領が予告した「関税戦争」が本格化する中、貿易依存度の高い韓国経済への打撃が懸念されている。約100年前、米国が自国産業保護を目的に「スムートホーリー法」を施行した結果、世界貿易規模が5年間で3分の1に縮小し、「世界大恐慌」を引き起こした前例があるからだ。
韓国の研究機関「ハッシュド・オープン・リサーチ」のキム・ヨンボム代表(元企画財政次官)は3日、「韓国の1・2位の貿易相手国である中国と米国が関税戦争を繰り広げれば、韓国の対米・対中貿易が縮小するだけでなく、経済と金融市場の不確実性が高まる」と指摘。「いわゆる『鯨同士の戦いにエビの背が裂ける』事態が起こり得る」と懸念を示した。
キム・ヨンボム氏によると、米中対立はすでに韓国経済に深刻な影響を与えているという。米国の財政赤字による高金利・高為替環境が、民間債務の多い韓国経済に負担を与え、3年間内需が回復しない状況が続いているとみる。また、「中国発の輸出圧力」により石油化学、鉄鋼、太陽光産業などが危機に直面しているとも分析した。
そのうえでキム・ヨンボム氏は「韓国が米中対立に介入する余地は極めて限られるが、多国間外交を通じて米中両国に責任ある経済政策を求め続けるべきだ」と強調し、「米中貿易戦争は容易に収束しない可能性が高いため、外部要因に影響されやすい内需を支える財政政策と、低迷する製造業を立て直す産業政策が必要だ」と訴えた。
韓国貿易協会の統計システム「K-Stat」によると、昨年の韓国の貿易相手国1位は中国(2729億ドル)、2位は米国(1999億ドル)だった。第1次トランプ政権時の韓国の対米貿易額は2017年に1193億ドル、2018年に1316億ドル、2019年に1352億ドル、2020年に1316億ドルだった。バイデン政権最後の年である昨年と比較すると、約600億ドルの差がある。
第2次トランプ政権では、さらなる貿易赤字削減を目指し、韓国製品にも追加関税を課す可能性が指摘されている。米商務省の統計によると、韓国は昨年上半期の米国貿易赤字国ランキングで6位だった。トランプ大統領は「半導体、鉄鋼、製薬、石油、ガスにも関税を課す」と発言している。
トランプ大統領は2日(現地時間)、首都ワシントン近郊のアンドリューズ空港で「米国は長期にわたりほぼ全ての国から搾取されてきた」と述べ、「我々はほぼ全ての国との貿易で赤字を出しているが、これを変える」と強調した。この場合、韓国の対米貿易黒字が縮小する可能性が高まる。また、米中の貿易戦争が拡大すれば「第2の大恐慌」が発生するとの懸念もある。関税報復合戦が世界貿易を縮小させ、貿易依存度の高い韓国に甚大な影響を与える可能性がある。
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