北朝鮮の学生が記した「生活総和」ノートが公開され、幼い子どもから海外派遣の労働者や軍人に至るまで、北朝鮮の思想統制が日常生活に浸透している実態が明らかになった。
韓国・釜山東亜大学釜山ハナセンター長のカン・ドンワン氏は自身のYouTubeチャンネルで、脱北者から提供を受けた「生活総和ノート」を紹介した。
ノートには子どもたちが「金日成・金正日が指導する教えに従えなかった」と反省を記し、級友同士が互いを批判する内容が含まれていた。カン氏はこれを「北朝鮮特有の統治方式」と評した。
「生活総和」とは、北朝鮮住民が所属する組織や労働団体、学校などで定期的に実施される自己批判と相互批判の会議の一環だ。ここでは、個々の業務や生活を反省し、他者の過ちも指摘することが義務づけられている。こうした統制は、小学校に相当する「初等学院」から始まる。
公開された学生のノートには「学業や組織生活に100%参加し、キム・ジョンイル(金正日)将軍様が望むような立派な生徒になる」と決意を記した上で、特定の級友について「家が遠いという理由で早く帰ろうとするのではなく、勉強を優先すべきだ」と批判的に述べていた。ノートには、日常の学校生活だけでなく、休暇期間中や組織会議での議題に基づく自己反省も詳細に記されていた。
また、カン氏はロシアに派遣された北朝鮮労働者の「党生活総和」ノートも公開した。その冒頭には「党の唯一指導体制確立のための10大原則」が記載されており、その中で「党への忠誠を労働実績で証明せよ」といった内容が強調されていた。
これとは別に、ウクライナ軍の特殊作戦部隊は8日、北朝鮮軍兵士の「月生活総和」メモを公開した。そこには「最高司令官、キム・ジョンウン(金正恩)同志が次のようにおっしゃいました」という文で始まる指導内容が記され、兵士自身が「ロシアの物品を無意識にポケットに入れてしまった」として自己批判していた。
北朝鮮当局は「生活総和」を通じて子どもから軍人、海外派遣労働者に至るまで、場所を問わず思想的・政治的な生活を強制している。この制度は、個人の行動を厳しく監視し、体制からの逸脱を防ぐための重要なツールとして長年利用されてきた。
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