韓国ロッテグループの副社長にシン・ユヨル(辛裕烈)氏が昇進し、本格的な「3世代経営」の幕が上がった。シン氏には深刻な経営危機に直面するロッテの未来ビジョンを提示するという重責が課されている。これまでの経験を活かし、持続可能な成長戦略を描き出せるかが、後継者としての能力を示す試金石となりそうだ。
ロッテグループは11月28日、2025年定期役員人事を発表し、大幅な経営刷新に踏み切った。CEO(最高経営責任者)21人を交代させるなど、全役員の22%が退任する「人事の荒波」が吹き荒れた中、シン副社長は異例のスピード昇進で存在感を発揮した。2021年に常務、2023年に専務、そして2025年には副社長にまで昇格した。
さらに、シン氏は今年6月にロッテグループの支配構造の頂点に位置する日本のロッテホールディングスの社内取締役にも就任し、後継準備が本格化しているとの見方が強まった。ロッテホールディングスでのキャリアを2020年に部長としてスタートしてから、取締役就任までわずか4年というスピードだ。
現在、シン氏はロッテグループの中枢となる未来成長室長とロッテバイオロジクスのグローバル戦略室長を兼任し、新規事業や技術発掘、グローバル連携プロジェクトを推進している。
シン副社長は日本国籍を持つ1986年生まれ(38歳)で、今年から兵役義務が免除された。韓国国籍を回復するかは明らかでないものの、経営への影響は少ないとの見方が優勢だ。また、2023年にロッテ持株会社の株式0.01%を購入して、責任経営への意欲を示しており、将来的にさらに株式を取得したり、取締役会に加わる可能性があると見られている。
加えて、今回の人事を契機に、より積極的な未来経営を展開できる環境が整った。特に、ロッテグループ内の経営陣が大幅に若返ったことで、1980年代生まれのシン氏は「年齢」に関する負担が軽減された形だ。
実際、今回の人事で新たに昇進した1970年代生まれのCEOは12人に上り、部門責任者を含めると15人に達する。一方で、60代以上の役員は8人が退任し、組織全体で世代交代が進んでいる。
また、組織のスリム化により空席となった役員ポストが多く、新たな人材登用が可能になった。今回新たに任命された経営革新室のノ・ジュンヒョン室長の指揮のもと、構造改革が進む中で、シン副社長が自らの経営哲学に合った人材を抜擢するチャンスが増えると予想される。
(c)news1