2024 年 12月 15日 (日)
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[KWレポート] 時代遅れの非常戒厳 vs デジタル民主主義 (3)

9日午後、大邱市中区で開かれた集会で応援棒を振る市民ら(c)NEWSIS

◇「映画よりも衝撃的」ニュース視聴者が殺到…コメントも爆発的増加

「無料の鶏唐揚げを食べて弾劾集会を頑張ってください」

「少しでも力になりたくて、国会議事堂近くの○○カフェでコーヒー100杯を先払いしました」

韓国のユン・ソンニョル(尹錫悦)大統領の2度目の弾劾訴追案が採決される14日に大規模な集会が予告される中、SNS「X」(旧Twitter)では、このような先払いや寄付の投稿が相次いでいる。寒波の中で長時間屋外にいる集会参加者のために、コーヒーや軽食、カイロなどを無料で提供する動きだ。ある利用者が作成した「2024ろうそく集会先払い/寄付ページ」には、11日午後4時時点で59件の寄付が集まった。

オンラインで支援金を送るケースも増えている。ある利用者は、14日に無料の鶏唐揚げ100人分をフードトラック1台で送る予定だったが、賛同する人が増えたことで鶏唐揚げ400人分、トッポッキ300人分、おでん300人分をフードトラック2台で支援することになったという。この利用者は「最初は100人分の予定だったのに、気がついたら1000人分になっていた。3人の支援者に感謝している」と語った。

「2024ろうそく集会先払い/寄付ページ」スクリーンショット(c)MONEYTODAY

カカオトークの「ギフト機能」を使って気持ちを伝える方法もある。カカオトークのギフトコードを登録すると、コンビニやカフェで物品と交換できる。ある利用者は「地方在住なのでギフトコードを用意した」として、汝矣島駅近くのカフェで交換可能なアメリカーノのギフトコード10個を投稿した。ただし、集会に参加せずギフトだけを受け取る「チェリーピッカー」の増加を受け、「個別メッセージで直接伝えるべきだ」などの注意喚起も出ている。

オフラインだけでなく、オンラインでもろうそく集会が続いている。Xではユーザー名にろうそくの絵文字を加えたり、Instagramストーリーでろうそくの画像をシェアしたりする動きが広がっている。「2024オンラインろうそく地図」も登場し、地図上で好きな場所にろうそくを置き、メッセージを入力するとろうそくの絵文字が生成される仕組みだ。11日午後4時時点で、合計2300本のろうそくが灯された。

汝矣島のトイレの位置を知らせる地図のスクリーンショット(c)MONEYTODAY

◇「集会に参加する時は携帯を『遮断モード』に」

集会への参加経験が少ない20~30代向けに「お役立ち情報」も共有されている。弘益大学の学生らは、コラボレーションツール「Notion」を使って「集会準備と緊急時の行動要領」ガイドブックを制作した。そこには、集会時の服装や持ち物の準備だけでなく、「警察に連行されたり携帯を押収・紛失する危険に備え、iPhoneは『遮断モード』、Galaxyは『最大制限機能』に設定せよ」など具体的なアドバイスが含まれている。

さらに「集会場所近くのトイレマップ」や、最新K-POPから民衆歌謡まで幅広く収録した「弾劾集会プレイリスト」も登場している。7日に国会前集会の参加者は「MZ世代(1980年代~2000年代初旬の生まれ)が一斉に歌いやすい曲が中心で、50~60代が歌いづらいという指摘もあり、最近では昔の民衆歌謡を混ぜたプレイリストも多く作られるようになった」と話した。

このような動きについて、デジタルに精通した若者主導の「新たな民主主義の形態」だと評価する声もある。ソウル女子大学のパク・ジング教授(メディア情報学部)は「非常戒厳と弾劾政局は絶望的だが、若者が積極的に声を上げていることには希望がある。これまでMZ世代やK-POPファンダムは共同体に関心がなく個人主義的だと見られていたが、そうした既存世代の見解がどれほど誤っていたかを示す事例だ」と指摘した。

(つづく)

(c)MONEYTODAY

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