活気を失い消滅の危機に瀕していた韓国江原道春川市の薬泗洞が、小川を中心に復活の兆しを見せている。この川の美しさに魅了された若者たちが次々と集まり、地域住民と協力してローカル商品を開発。地域の魅力を詰め込んだブランド「メイド・バイ・薬泗川」として注目を集めている。
薬泗川は湖畔都市・春川市の中心を流れる小川で、周辺には緑地が広がり、昼間は子どもたちが水遊びをし、夜は住民が散歩を楽しむ憩いの場であった。しかし、薬泗洞の衰退に伴い、小川もまた存続と開発の狭間で揺れていた。地域住民は、ビル群の間に挟まれたこの川を放置するのは惜しいと考え、保全を優先する開発方針が決定された。
さらに昨年、行政安全省の支援を受けて「生活圏単位ローカルブランディング事業」の対象地に選ばれたことを契機に、薬泗川は「メイド・バイ・薬泗川」という新たなブランドとして生まれ変わった。地域住民と若者たちが協力して川の価値を再発見し、その魅力が広まった。
薬泗川の景観を見渡せる「手工業ファクトリー」という拠点が設立され、1階にはローカル商品の販売・展示スペース、2階には工房や体験スペースが設置された。この場所を拠点に、薬泗川をテーマにしたさまざまな商品が開発された。たとえば、かつての薬局街から着想を得たビール、薬草を使用した石鹸、薬泗川の風景を模したカッティングボードやティートレイなどだ。
今年2月には薬泗川をテーマにしたポップアップストアが開催され、1カ月で約2500人が訪れ、1100万ウォン(約120万円)の収益を上げた。昨年11月には、ソウルの新世界百貨店で無印良品とのコラボレーション商品が展示されるなど、全国的な注目を集めている。
さらに薬泗川の成功を背景に、隣接する孝子洞など他地域へのブランド拡張も進んでいる。複数の官庁が連携して予算確保を容易にすることで、生活圏単位でローカルブランドの普及が進んでいる。「メイド・バイ・薬泗川」は、ナンバーワンではなく、薬泗川の特性を強調した「オンリーワン」のブランドを目指している。
現在、地域のローカルメーカー13チームが活動しており、12月2日から1カ月間、手工業ファクトリーで50種類以上の商品を販売するポップアップストアを再び開催する。このイベントでは来場者が商品作りを体験できるワークショップも開かれる。
春川社会革新センターのパク・ジョンファン所長は「いまの時代は機能性だけでなく、その中に込められた意味や哲学を消費する時代だ」と述べ、薬泗川を通じて地域の特性を反映し、多世代をつなぐブランドを発展させる意向を示した。
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