知り合いの顔に動物の写真を合成した動画を作り、中傷目的でユーチューブに流布したとして侮辱や名誉毀損、業務妨害の罪に問われた保険代理店主に対する上告審で、韓国大法院（最高裁）はこのほど、懲役1年2カ月の2審判決を支持し、店主の上告を棄却した。最近の映像編集・合成技術の進化により、視覚的手段を用いた侮辱であっても、言語的手段を用いた場合と差はないという判断となった。
店主は2020年4月から自身のユーチューブチャンネルで、既知の保険設計士の顔に「カエル」の画像を合成した写真を使用して視聴者に見せ、侮辱的な発言を繰り返した。
また、保険設計士が「過去に罰金刑を受けた」と虚偽事実を広めたうえ、他の保険設計士についても違法行為をしたとする根拠のない主張を繰り返し伝えていた。
さらに店主はかつての同僚を「食い逃げした」とか「携帯電話販売員出身」と侮辱したとされ、これらの行為が名誉毀損や業務妨害に該当するとされた。
1審は、店主の多数の名誉毀損および侮辱罪を認め、懲役1年6カ月に執行猶予3年、社会奉仕120時間を命じた。しかし、保険設計士に対する顔写真合成については「単なる写真合成は侮辱には該当しない」として無罪を言い渡していた。
2審では、写真合成による侮辱も「非言語的かつ視覚的手段で社会的評価を低下させ、侮辱的感情を伝えるもの」として有罪と判断し、懲役1年2カ月の実刑判決が下された。
今回の大法院は、写真合成が「保険設計士の顔を隠す目的ではなく、カエル画像を利用して保険設計士の社会的評価を低下させる意図が明白だ」と指摘したうえ、視覚的手段による侮辱も言語的手段と同等に扱うべきとする近年の判例に基づき、店主の上告を棄却した。
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