韓国の大学修学能力試験後の受験生割引が衰退している。景気低迷やオンラインショッピングの普及で消費傾向が変化し、受験生客が激減。一方で外国人観光客が主要顧客となり、受験票の価値も過去のものとなりつつある。
試験翌日(15日)、ソウル中心部の明洞にある店では、受験生割引を宣伝する広告が電光掲示板に表示されていた。しかし、その割引を利用する顧客はわずか1組だったという。
ソウル市麻浦区(マポグ)の弘大(ホンデ)で3年間、ピアス店を営む20代の女性経営者は「かつては修能が終わると受験生客が来ていたが、昨年からほとんど見られなくなった」と語る。割引の早期終了も検討しているという。
修能試験終了後の週末、弘大周辺は観光客で賑わっていたが、受験生の姿はほとんど見当たらなかった。街を歩く人々の半数近くは外国人観光客で、受験生割引を掲げた店はほぼ姿を消している。代わりに目立つのは外国人客向けの英語や中国語の看板だ。
数年前までは「万能割引クーポン」と呼ばれた修能の受験票が、今ではその価値を失っている。当時は受験票が中古取引サイトで高額で売買されるほどの人気を誇っていた。
受験生割引が姿を消した理由として、長引く景気低迷と消費傾向の変化が挙げられる。ソウルで15年間靴店を営む男性は「修能が終わっても受験生客は1人も来なかった」と嘆く。「売り上げの70%以上が外国人観光客からで、韓国人客はほとんどお金を使わなくなった。さらに、オンラインショッピングの普及も影響している」と述べた。
また、京畿道城南市でカフェを運営する別の経営者は「昨年は受験生向けに手作りチョコレートをプレゼントするイベントを開催したが、今年はカカオの価格がほぼ2倍に高騰し、余裕がなくイベントも実施できなかった」と話す。さらに、イベントが一時的な売り上げにとどまるため、費用対効果が見込めないとの判断もあったという。
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