映画「トンネル」や「希望」の原作を手がけた作家ソ・ジェウォン氏が、ホームレスだった過去に自分に本を贈ってくれた書店員を探している。
ソ・ジェウォン氏は15日、自身のSNSで20年以上前にホームレスだったころの体験を披露した。当時、ソウル駅近くの書店で本を読んでいて、書店員から本を贈られたことが生涯で初めての「贈り物」だったと振り返る。
ソ・ジェウォン氏は「ホームレス生活を送っていたころ、行く場所もなく、書店だけが唯一の逃げ場だった」と語る。しかし、ある日、連日訪れるソ・ジェウォン氏を見かねた店員が「臭いという苦情が寄せられているから出て行ってほしい」と告げた。ソ・ジェウォン氏は恥ずかしさから急いで店を後にしたが、その後ろから「ちょっと待って!」と呼び止められた。
振り返ると、別の書店員がソ・ジェウォン氏に駆け寄り、一冊の本を差し出して「これを読んでいましたよね? 最後まで読めていないでしょう。私からの贈り物です」と告げた。その瞬間、ソ・ジェウォン氏は涙を流しながらも、書店員が気を変えるのではないかと不安に思い、急いで本を受け取ったという。
その時、ソ・ジェウォン氏は「いつか自分の作品を贈る」と約束した。この約束を胸に抱き続けたソ・ジェウォン氏は、やがて人気作家となり、弱者の声を代弁する作品を世に送り出している。
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