韓国では満14歳未満の子どもはSNSの登録が禁止されている。規則上、中学2年の誕生日を過ぎてからでないと利用できないのだ。しかし、校内でのカカオトークのグループチャットが学校暴力などの問題で制限されるようになり、インスタグラムのダイレクトメッセージ(DM)を使う小学生が増えている。小学6年生のミンジ(仮名)もその一人だ。
京畿道水原市にあるある小学校の昼休み。ミンジは教室の真ん中でお辞儀をすると、音楽なしで「TikTokダンス」を踊り始めた。一部のやんちゃな男子がからかっても気にせず、10秒ほどの短い舞台で、事前の練習なしには難しい振り付けを見事に披露した。
ミンジは気にする様子もなく、「おすすめ動画に出てきたのを数回見れば覚えられるよ」と言った。ダンスの才能がなければ、アイドルのように自然に踊れるようになるには、どれほど動画を見なけれならないか。彼女の1日のSNS利用時間は4時間で、2023年の10代の平均利用時間2時間41分のほぼ倍にあたる。ミンジも「正直、かなりやっている」と認めた。
「正直、小6になってからお母さんとよくケンカするようになりました。そういう時は悔しくて泣きたくなるし、イライラします。でもSNSを見ると、気分が晴れるんです」
ミンジはSNSをする理由についてこう話した。
小学生は保護者の同意を得て利用できるカカオトークやYouTubeに加え、ミンジはTikTokやインスタグラムも使っていた。TikTokのおすすめ動画を見て、インスタグラムで友達と交流していると、夜中を過ぎることも珍しくなかった。
満14歳未満の登録禁止がもはや意味をなさないようにも見えた。
「私のインスタは非公開アカウントです。だいたい他のクラスや近隣の学校の友達がおすすめに出てくるんです。誰かが私をフォローすると、私もフォローバックします。そうやってインスタの友達になると、お互いのストーリーを見たりDMしたりするんです」
そんなある日、ミンジはTikTokで偶然、同年代の女の子が日常を紹介するVlogを見かけた。朝起きてストレッチをしたり、寝る前に読書したりするなど、30秒にまとめられた短い1日だった。ミンジもやってみたくなり、1回が2回、2回が3回と増えていった。計画表まで作り、実践してから3週間が経ったころには、ミンジのSNS利用時間は2時間に減った。ミンジをSNS依存から救ったのは、親でも先生でもなく「TikToker」だった。「いつまで続くか分からない」と話すミンジの計画表は、今日も進行中だ。
(つづく)
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