韓国で、未婚や離婚を理由に50歳以上の中高年層の単身世帯が増加し、生活面や健康面での不安を抱える人が多くなっている。これを受け、従来の独居高齢者支援を見直し、新たな支援体制の導入が必要だとの意見が出ている。
韓国保健社会研究院が発表した「中高年単身世帯の特性と政策課題」報告書によると、中高年単身世帯の中でも特に未婚者の割合が増加しており、50代以上で配偶者無しの世帯が抱える課題として「バランスの取れた食事」が5点満点中3.2点と最も高い懸念事項とされ、続いて病気時の対応(3.1点)、家事の負担(2.8点)、経済的不安(2.7点)、孤立(2.6点)などが挙げられた。これは、これまでの家族構成の支えが期待しにくい単身世帯特有の問題として浮上している。
また、将来的な懸念事項として、回答者の41%が「疾病悪化時のケア」、35.8%が「経済的な困難」、8.4%が「心理的孤独」を挙げており、これらの問題に対するサポートが重要視されている。さらに、報告書では住宅安定(33.6%)やケアサービス(21.9%)、健康増進(13.8%)の支援を望む声が大きい。研究チームによると、50代から60代の単身世帯は特に住宅の安定性が低く、賃貸や建物所有者の親戚知人だということから無料で居住する割合が高いことも背景にある。実際、10年間で50代以上の月額家賃や無料居住の割合は52%に増加し、住宅の不安定さが際立っている。
さらに、単身世帯では特に「生活パートナー」のような新しい家族形態が重要視されている。報告書作成者である韓国保健社会研究院の研究者たちは「未婚の中高年層では、配偶者や子供といった伝統的な家族構成が存在せず、社会的サポートが限定的である」と指摘し、「結婚や血縁によらず、家族のような支援を提供できる他者と生活を共にする『生活パートナー』制度の法的認定が必要だ」と提案している。これは、今後の中高年層が「純粋な単身世帯」としての生活を送る可能性が高くなるためであり、将来的なサポート体制を構築することが求められている。
医療分野でも同様の課題があり、特に病気の時に迅速な対応ができるようにするため、「医療行為に関する同意書」の見直しも必要とされている。現在、法定代理人のみが同意できる制度の制限を超えて、あらかじめ指定した代理人が医療で同意できるようにすることで、家族以外の信頼できる関係者による医療支援を可能にする方針が提案されている。
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