韓国のソフトウェア企業「HANCOM(ハングルとコンピュータ)」は、AIを活用した文書サービスの方向性について、単なる文書作成機能を超え、ユーザーの使用パターンを分析し、カスタマイズ型の機能を提供することが重要であると強調する。同社の戦略事業本部長、チャン・スンヒョン氏は、AI技術による迅速かつ効率的なデータ処理の重要性を述べ、特にセキュリティが担保された環境下でのAIソリューションでグローバル市場を攻略するとした。
HANCOMは、質問応答AIソリューション「ハンコムピディア」の年内リリースを予定しており、この製品は許可された企業データを学習し、閉鎖環境でもユーザーの質問に対して出典を示しつつ回答する設計だ。サービスは金融や法務、流通分野に特化しており、たとえば文書作成中に法令情報が必要な場合、画面上に検索タブを追加し、法令データに基づいた回答を提供することが可能だ。
さらに、検索拡張生成(RAG)技術を導入し、信頼性の高い出典をもとにした正確な回答を提供することで、「ハルシネーション」(不正確な情報による誤認)を大幅に抑制した点が他社との差別化ポイントだとチャン本部長は述べる。
HANCOMは他にも、生成AIを活用した自動文書作成ソリューション「ハンコムドックスAI」を提供している。インターネットが接続された任意の場所で、テンプレートとプロンプトを用いた文書作成や編集が可能で、特にビジネスレポートや企画書といった6種類のテンプレートを備える。初期バージョンには11種の推奨プロンプトが含まれており、来年第一四半期までに機能が拡充される。
また、設置型文書AI「ハンコムアシスタント」も年内リリースを控え、MSオフィスなどの外部プラットフォームと連携して、安全性が重視される企業や閉鎖環境向けのAIソリューションを提供する。HANCOMはAIソリューションの需要増に合わせ、米国と東南アジア市場へも進出を計画している。すでに日本、台湾、欧州で投資契約を締結している。
チャン本部長は「AIが人間に代わって業務効率を飛躍的に向上させる環境を構築し、特に東南アジア市場には現地ニーズに応える製品を提供する」と述べ、今後の海外展開と技術支援に意欲を見せている。
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