南北統一は経済的な負担を避けられない。だが、経済的効果も大きい。
内陸物流によるコスト削減や、中国の東北三省(吉林省・遼寧省・黒竜江省)の1億3000万人規模の経済圏開拓、そして北朝鮮でのインフラ開発市場の創出などが考えられる。
梨花女子大のパク・ウォンゴン(朴元坤)教授は次のように見通す。
「南北が統一すれば、韓国が直面している少子化や高齢化、低成長といった国家的な難題を解決できる。韓国が生き残る道は、経済領土を拡大することだけだ。南北が自由民主主義を基盤に統一した場合、韓国が北韓(北朝鮮)内のインフラを開発することで得られる効果は計り知れない。加えて、中国の東北三省の経済圏共有で大きなチャンスを得られる」
国会予算政策処も、統一の経済的価値が負担を上回ると分析している。
同処の報告によると、統一に伴う経済的負担は2020年から2060年まで毎年103兆ウォン(約11.33兆円)、総額で約4000兆ウォン(約440兆円)に達する。しかし、統一による経済効果は同期間で年平均321兆ウォン(約35.31兆円)、総額で1京4451兆ウォン(約1589.61兆円)に上るという。
しかし、韓国の専門家は、北朝鮮の体制が急に崩壊し、統一が突然訪れた場合、経済的負担がさらに増大する可能性があると指摘している。専門家らは東西ドイツ統一時の経済問題を教訓に、統一前から南北の経済協力が必要だと提言している。
ドイツは1990年の統一当時、経済格差が3~4倍であったにもかかわらず、10年近く経済的な困難を経験した。韓国と北朝鮮の経済格差はさらに大きい。統計庁の「2023年北韓の主要統計指標」によると、北朝鮮の名目国内総生産(GDP)は約36兆2000億ウォン(約3.99兆円)で、韓国の60分の1に過ぎない。1人当たりの所得格差は30倍、貿易額の格差は892倍にも達する。
東国大のコ・ユファン(高有煥)教授は「統一時に経済的効果を最大化するためには、統一前から南北が経済連合の形で協力を進めるべきだ」と主張する。また、南北だけでなく、日本や中国を含む北東アジア経済共同体を構築すれば、統一前から平和共存の体制が自然に形成されるだろうとも指摘している。
コ・ユファン教授は、欧州連合(EU)のような経済共同体を形成すれば、戦争のリスクを避けられると述べ、経済的な相互依存性を高めることで平和が維持されるとも強調した。
さらに「キム・ジョンウン体制が崩壊して統一が迫る場合、中国やロシアなどの周辺国からの干渉が増す可能性がある」と警告する。現在、進歩派は平和を強調し、保守派はキム・ジョンウン体制の崩壊による自由民主主義の統一を主張している。だが、平和と自由民主主義を両立させるには、統一前の南北経済連合の形での協力が重要である――コ・ユファン教授はこう主張する。
一方、匿名を希望する統一専門家は、統一前の南北経済協力が「開城(ケソン)工業団地」のような形式では持続不可能だと指摘している。韓国の技術力と資本力、そして北朝鮮の安価な労働力を組み合わせる形態は持続性がないというのだ。
この専門家は、北朝鮮が統一前に非核化の約束を、言葉だけでなく行動で実行するならば、周辺国は北朝鮮の中小企業や中堅企業の育成を支援すべきだと提言している。そうすることで、グローバルな資金が北朝鮮に流入し、改革が進み、自然に韓国の体制が優れていることが証明されるだろうとの見解を示している。
(つづく)
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