「北韓(北朝鮮)政権が崩壊した際、その領土を中国が手に入れることについてどう思うか」。若者6人にこう質問すると、大半が否定的な反応を示した。統一には反対だが、朝鮮半島の領土を中国に渡すことは許されないという認識だ。
キム・ミンジェさんは「韓(朝鮮)半島が中国に渡ることは見過ごせません。中国だけでなく、第三国が関与することもありえないことです。統一について改めて考えさせられます」と述べた。
イ・ダジョンさんは「今もそうですが、北韓の領土が中国に渡ると、韓国が孤立した島国であるかのように感じられるようになるでしょう。さらに中国を牽制する必要が出てくると思います。韓国史では常に半島を中心にすべてが展開されるので、自然に『我々の土地』という感覚が生まれます。中国に占領されると、土地を奪われたように感じます」と伝えた。
ユ・デハンさんは「部屋を奪われるような感じです。2人部屋の寮でルームメイトと仲が悪くなって、急にルームメイトがいなくなり、隣の部屋の人(中国)が来て『ここを使う』と言っているような感じがします」とたとえた。
キム・サンヒョンさんは「短期的な観点では統一は損だと思っていましたが、領土問題にアプローチすると考え方が変わります。北韓政権が崩壊する前に、いつかは統一をしなければならないと思います」と語った。
ホン・ジンスさんは「中国が北韓の領土を手に入れるのは嫌です。統一を望んでいなくても、中国と国境を接するのは避けたいです。他人にあげるのはもったいないけれど、自分が手に入れるのも気が進まない感じです。歴史問題でも、中国の『東北工程』がさらに悪化するのではないか」と懸念を示した。
ちなみに「東北工程」とは、中国東北部(旧満州)の歴史研究を目的とする中国の国家プロジェクト。その中で中国側は、現在の韓国、北韓、中国東北部の地域に存在したかつての「高句麗」や「渤海」を「中国の地方政権」と位置づけ、韓国側の激しい反発を受けた経緯がある。
◇分断リスクの「認識」次第で「統一の必要性」変化
このように、統一に対する20代の認識に矛盾が生じるのはなぜだろうか。専門家らは「民族主義的な特性よりも、資本主義的な普遍性がより強く作用している世代だからだ」と分析している。つまり、大義ではなく、実際の損益をもとに、その都度判断するということだ。
韓国政府系シンクタンク、統一研究院のチョ・ハンボム(趙漢凡)専任研究員は次のように分析する。
「若い世代は自分を韓国人としてではなく、世界社会の一市民として認識している。分断や統一といった、我々民族の特性に関わるテーマを自分に関係のあることだとは思っていない。これまで分断の痛みやリスクを意識する機会がほとんどなく、今もないからだ。しかし、統一をしないことによって、自分自身に直接的な被害・危険が及ぶと考えることになるなら、それらを防ぐために統一をすべきだと考えるようになるだろう」
したがって、単に統一について20代が「必要ない」と答えたからといって、彼らが統一を望んでいないという結論を下すのは危険だという見解だ。
北韓大学院大のヤン・ムジン(梁茂進)総長は次のように訴える。
「世論調査では、南北関係が良好な時と悪化している時では、その結果は全く異なる。南北の雰囲気が良く、統一が近い未来のように感じられると、すべての世代は“統一を早く進めるべきだ”という世論が高まる。逆に関係が冷え込み、挑発が頻発すると、“統一をするな”という世論になる。その時々の調査結果によって国家政策を左右させるべきではない」
(つづく)
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