韓国の憲法第3条では、領土を「韓(朝鮮)半島とその付属島嶼」と規定している。しかし、北朝鮮はすでに韓国と「敵対的な二つの国家」関係であることを明確にしている。韓国政界でも「統一を諦めるべきだ」という主張が出ている。20代のほぼ半数が「統一の必要はない」と答えている。にもかかわらず、韓国が統一の夢を諦めてはならない理由とは何なのか。
◇韓国20代「なぜ統一するの?」
北朝鮮のキム・ジョンウン(金正恩)朝鮮労働党総書記は昨年末、党中央委員会総会で「北南関係はもはや同族関係、同質関係ではなく、敵対的な二つの国家関係、戦争中の二つの交戦国の関係に完全に固定された」と明言した。
韓国でも最近、イム・ジョンソク(任鍾晳)前大統領府秘書室長が「統一はしなくていい」として統一放棄論を主張すると、多くの若者が賛同した。
統一研究院が今年6月に発表した「統一意識調査2024」によると、「統一が必要だ」と答えた回答者は52.9%で、2020年以降の最低を記録した。特に1991年以降に生まれた30代中盤以下の世代では「必要だ」という回答が46.5%にとどまった。
これまでの「統一を義務のように強要してきた」教育方式から脱却し、統一の正当性・必要性について社会的に議論する必要があるという指摘もある。
若者らが統一に対して否定的な見方をする最大の理由は、経済的な負担だ。
統一が現実となった場合、北朝鮮の住民を支援するために、韓国の住民が経済的に犠牲を強いられるかもしれない。統計庁によると、昨年の南北間の1人当たりの所得格差は約30倍に達している。ドイツの場合、統一当時の東ドイツと西ドイツの1人当たりの所得格差は3~4倍に過ぎなかったのに、統一後に少なからぬ後遺症を経験した。
しかし、韓国の若者世代が統一に対して、ただ否定的であるとは言えない。MONEYTODAYがインタビューした20代男女6人全員が「統一は必ずしもする必要はない」と答える。一方で「韓国が統一を放棄すれば、現在の北朝鮮の領土が中国に吸収される可能性がある。それでも統一を放棄するのか?」と問いかけると、6人中5人が「そのような事態は防ぐべきだ」と回答している。
専門家らは、こうした矛盾について「北朝鮮をどう捉えるか」という点で社会的合意が形成されていないことに原因があると指摘する。
1950~53年の「3年間にわたる大規模な戦争」を、70年以上にわたって「6.25」という戦争勃発の日付で呼び続けている現実がこれを裏付けている。
北韓大学院大のヤン・ムジン(梁茂進)総長は「戦闘ならともかく、大きな戦争の呼称に日付を使わないのが一般的だ」と語った。戦争の相手であった北韓(北朝鮮)を、別の国家として見るべきか、国内の反乱勢力と見るべきか、明確に整理されていないのだ。
専門家らは、統一が実現した場合、短期的には経済的な負担があるかもしれないが、長期的には経済的な効果が想像を超えると考える。しかも、この点が相対的にあまり知られていないそうだ。
梨花女子大のパク・ウォンゴン(朴元坤)教授は「南北が統一すれば、少子化、高齢化、低成長など、現在、韓国が直面している多くの国家的難題を解決できる」とみる。
(つづく)
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