2024 年 10月 16日 (水)
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「モノづくり用と国防用、二つのロボットで競争力を高めよ」…韓国ロボット産業の重鎮が語る「チェスゲーム」とは

自動化生産とAI技術を基にスマートファクトリー技術を事業化したLG電子スマートパークではロボットアームが冷蔵庫のドアを組み立てていた=LG電子(c)KOREA WAVE

「ロボット産業の本質は単に道具を作ることではない。この道具を使って社会にどのような解決策を提供し、世界をどう変えるかが注目されるのだ」。韓国ロボット産業協会のキム・ジノ会長がインタビューに応じ、ロボット産業の進むべき方向について、こう述べた。

キム会長は、約40年前から機械・ロボット工学に専念してきた人物で、ソウル大学で機械工学の学士号と修士号を取得した。さらに、米国で初めてロボット学部を設立したカーネギーメロン大学でロボット工学の博士号を取った。その後、企業や学界を経て、国内ロボット研究の先駆者として活動し、今年2月、第11代韓国ロボット産業協会長に就任した。

この間、ロボットシステム統合(SI)企業を「システムアーキテクチャ(SA)」という新たな概念で再定義することを提案し、ロボット製造だけでなく、どう使うかを深く考えることが重要だと強調している。

◇「製造と国防のロボット」

キム会長は2000年代初頭に国家政策策定に関与し、当時「製造と国防のロボットは必ず発展させなければならない」と主張していた。国防はモビリティー、製造はマニピュレーター(ロボットアーム)を中心に研究開発が必要であり、この2つの分野の競争力を高めれば、他の分野の成果も産業発展につながるとの考えだ。

「製造と国防分野のロボットはチェスゲームのように、他の分野のロボットはポーカーゲームのようにするべきだ。ポーカーはうまくいかない場合、途中で方向を変えることもできるが、チェスゲームは勝負が決するまで諦めてはならないという覚悟で取り組むべきだ」

協会もこのための特別な準備に乗り出した。最近注目されている国防分野で技術力を強化するため、協議会の組織を構築する。国防ロボットに貢献する主要企業を中心に、今秋に「国防ロボット協議会」を立ち上げる。参加企業を拡大するために韓国ドローン産業協会とも連携する可能性を示唆した。

「医療現場で使用される手術ロボットも結局は国防から生まれた技術が応用されたものだ。国防は国家が集中して育てるべき分野で、そこから他の分野に派生していくことを支援すべきだ」

「現在、国防システムではロボット導入のための条件が厳しいため、導入価格も高くなる。ロボットは既存の武器システムとは異なる視点で捉えるべきだ。消耗品として扱えるように認識と規制が改善されなければならない」

ゴーストロボティクスの四足歩行ロボット「ビジョン60」=ゴーストロボティクス(c)KOREA WAVE

◇「フードテック分野にも無限の可能性」

キム会長がもう一つ自信を持っている分野は「フードテック」だ。ロボット協会は今年5月、初めての協議会として「フードテックロボット協議会」を発足し、キックオフミーティングを開催した。これはフードテック産業でロボットが応用できる分野を共に探るために設立された組織だ。

「昨年からフードテックロボットシステムの需要が大幅に増加している。フードテックはまだ世界的に技術格差が大きくない新市場であり、競争力のある産業に成長できるだろう」

協議会はユーザーと協力し、客に合わせたロボット開発を進めるための窓口として活動している。さらに、海外企業との技術交流や関連イベントへの参加支援、中小企業の認証支援なども実施している。

ロボットアンドデザインのバイオ分野におけるロボット技術概要=ロボットアンドデザイン(c)KOREA WAVE

◇「海外進出と規制改善に全力」

協会の規模も着実に拡大している。フードテックに続き、国防分野にも第2のロボット協議会を組織しており、キム会長が就任した2月には219社だった会員社数は現在約300社に増加した。

ロボット協会は、会員企業間の情報交換と協力を促進する目的で、1999年に設立された非営利社団法人だ。韓国産業通商資源省傘下の公的機関である韓国ロボット産業振興院と共に、業界の中核機関とされており、政策研究や産業調査、支援、国際協力事業などを展開している。政府の支援育成政策を立案する際に、現場の意見を伝える役割も担っている。

今年は政府が国内ロボット産業の育成を目的に「第4次知能型ロボット基本計画」を確定し、新たな5カ年計画が始まる時期で、協会の役割と責任はさらに大きくなっている。

「新しいロボットは常に規制に直面する問題がある。ロボットを開発することよりも、社会を変えることの方が難しい。国内で自由にロボット技術を開発し、完成させ、信頼性検査まで実施できる機会を提供すべきだ」

韓国ロボット産業協会のキム・ジノ会長=光云大学(c)KOREA WAVE

◇「人類と国家のための使命、病気との戦い」

キム会長は協会の業務とは別に、研究活動にも注力する。主な研究分野は、バイオ産業とロボティクスの融合だ。特に、細胞治療薬や遺伝子合成分野でのロボット技術の活用により、人類の健康に貢献することが長年の夢だ。

「毎週60時間以上、研究を続けている。熱力学や流体力学、ロボット工学を深く学んだ経験を基に、バイオの分野で道を切り開いていく。人間がやるようにしてはいけない。まったく新しい世界を構築する必要がある」

「細胞治療薬が次々と商品化されているが、その価格は非常に高い。研究過程で多くの試行錯誤が発生するため、ロボット自動化により開発過程を効率化し、その後より簡単で迅速に量産する方法を見つけ出すことに関心がある」

ロボット自動化技術により、人類が病気と戦うのに貢献する――キム会長は「それが私の最後の使命。人類に良い影響を与えるソリューションを見つけ出す」と強調した。

(c)KOREA WAVE

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