韓国の格安航空会社(LCC)「ティーウェイ航空」のA330-200機(機体番号HL8211)がパリへの初運航便で機体不具合による欠航が発生した。しかし、この機体はかつて大韓航空に所属していた際には問題なく運航していたことが確認され、ティーウェイ航空の整備能力に疑念が生じている。
ただ、なぜこの機体だけで問題が繰り返されるのかは依然として明確ではない。
国土交通省の「HL8211」の過去5年間のAOG(機体不具合による遅延)に関する記録によると、大韓航空時代にこの機体で発生した遅延は2件のみだった。具体的には▽2023年5月31日にウズベキスタン・タシュケント発仁川行きのKE992便でのブレーキ不具合▽2024年2月28日に仁川発東京行きのKE711便でのランディングギア不具合――で、遅延はKE992便が3時間37分、KE711便が1時間26分だった。
HL8211は2010年6月21日の製造。大韓航空に導入され、2020年にティーウェイ航空へ移管された。ティーウェイ航空は、大韓航空とアシアナ航空の企業統合に伴い、欧州路線を運航するためにA330-200を5機リースし、その1号機として導入した。
8月末、パリへの初運航時にエンジンからの油圧オイル漏れが発生し、帰路のTW402便は欠航となった。さらに、金浦―済州間の運航にも投入されたが、再び油圧系統の問題が発生した。油圧系統とは、操縦士が操作した入力を機体に伝えるシステム全体を指し、油圧オイルはそのシステムを作動させるための流体だ。
一部では、大韓航空時代にも油圧系統に問題が多発していたという指摘もあったが、過去5年間の整備記録ではエンジンに関する問題は発生していなかった。唯一の油圧系統の問題はランディングギアで一度発生しただけ。
今回のパリでの遅延は、着陸時にエンジンの熱を機体前方に噴射し、制動を補助する逆推力装置の問題によるものと確認されている。
(c)news1